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情報BOX:トランプ氏がやり玉、FRB本部改修で知っておくべきこと

2025年07月18日(金)10時14分

7月17日、トランプ米大統領が、パウエル米連邦準備理事会(FRB)議長への辞任圧力でFRB本部改修をやり玉に挙げている。写真は工事現場近くに掲示された完成予想図。14日、ワシントンで撮影(2025年 ロイター/Jonathan Ernst)

Ann Saphir

[17日 ロイター] - トランプ米大統領が、パウエル米連邦準備理事会(FRB)議長への辞任圧力でFRB本部改修をやり玉に挙げている。

改修するのは本部の2つの歴史的建造物で予算超過が問題となっている。ホワイトハウスの当局者らは、FRB本部の改修に対する監視が緩く、公的資金の管理が不適切で、詐欺行為さえしていると非難する。これに対し、FRBは老朽化した大規模な建物をエネルギー効率が優れ、機能的な空間に変え、歴史的な外観も維持しようとする複雑な作業がコスト高騰を招いたと反論している。

トランプ氏のパウエル氏攻撃は激しさを増しており、解任観測の報道も絶えない。連邦準備法は大統領がFRB議長を解任できるのは「正当な理由」がある場合だけだと定めている。

以下は、FRB本部改修について知っておくべき5つの点だ。

<改修されるのはどのような建物か>

1935―37年にFRB本部として建設されたエクレスビルと、もともとは米公衆衛生局が使うため32年に完成し、第2次世界大戦中には連合参謀本部が入居していた「1951コンスティテューション・アベニュー・ビル」だ。第1次トランプ政権下の2018年までに「空きビルを生産的な用途に戻し、FRBが複数のリースをまとめ、納税者の節約につながる」改修を可能にすることを目的としてFRBに譲渡された。この建物は国家歴史登録財となっている。

<どの程度予算超過しているのか>

行政管理予算局(OMB)のラッセル・ボート局長は予算超過額が「7億ドルに達し、まだ増え続けている」と説明する。FRBの予算によると、現在は改修費用を24億6000万ドルと見積もっており、2024年の18億8000万ドルを約5億8000万ドル上回る。

この文書によると、FRBは計画していた3番目の建物の改修を取りやめ、それによって約5億1000万ドルのコストを抑えた。

<なぜ予算を超過したのか>

3つ理由がある。(1)人件費と材料費が見積もりを上回ったため、(2)歴史的建造物として外観を保つために設計を変更したため、(2)そして地中の鉛汚染やアスベストの量が予想を上回ったことなど予期せぬ問題が発生したためだ。

<改修で豪華になるのか>

100年弱前に建てられて以来、一度も改修されたことのない建物のため配管や電気、暖房、水道などの設備を更新する必要があり、障害者が利用できるための改修も必要で、他の賃貸オフィスで働く既存職員に十分なスペースを確保するために建物の1つに地下室を設け、もう1つの建物を増築する必要があった。

FRBによると、理事専用エレベーターやVIP用の食堂はなく、当初の計画にあった「1951コンスティテューション・アベニュー・ビル」に新たに噴水を設ける計画は撤回された。ボート氏が主張した「屋上テラス庭園」も設置しないとしている。建物の1つには地下駐車場の屋根を兼ねた地上階の前庭があり、計画文書では「庭園テラス」と呼ばれていた。計画文書では、雨水流出と建物の効率化に役立つ「植生屋根」にも言及している。

<改修プロジェクトはどのように管理されているか>

FRBは法律により、資本支出を伴うプロジェクトを決定する権限を持つ。FRBの監察総監室が改修プロジェクトに関する月次報告書を受け取って、2021年に検証したのに続き、現在は新たな検証作業を進めている。

FRBは改修プロジェクトの設計と開発に関し、美術委員会や首都計画委員会を含めた数々の計画機関に相談した。FRBは経費節減のために当初の計画に若干の変更を加えたと説明するが、これらは根本的な変更ではなかった。

ロイター
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