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7月ロイター企業調査:補正予算「必要」7割、望ましい対策は規制緩和が最多

2025年07月17日(木)10時04分

 7月17日、7月のロイター企業調査によると、参議院選挙後に政府・与党が検討している景気対策について、約7割が物価高や米国の関税措置への対応のため補正予算を編成すべきと考えている。国会議事堂前で2021年5月撮影(2025年 ロイター/Kim Kyung-Hoon)

Tetsushi Kajimoto

[東京 17日 ロイター] - 7月のロイター企業調査によると、参議院選挙後に政府・与党が検討している景気対策について、約7割が物価高や米国の関税措置への対応のため補正予算を編成すべきと考えている。期待される対策は規制緩和などの制度整備が最多でいわゆる「ばらまき」とは一線を画すべきとの見方が多いが、消費減税や補助金配布を望む声も一定程度あった。

調査期間は7月2日─11日。調査票発送企業は497社、回答社数は241社だった。

長引く食料費・エネルギー価格の高騰などが家計を圧迫し実質賃金がマイナスに沈む中、経済対策は7月20日投開票の参院選の争点の一つとなっている。自民・公明の与党は、秋の臨時国会に向けて今年度の補正予算案を編成する必要があるという認識で一致している。

選挙後の補正予算について企業に聞いたところ、71%が「すべき」と答えた。原材料価格の高騰や物価高、米関税政策による悪影響を抑え「景気後退に陥らないようにしてほしい」(紙・パルプ)という。

一方で、「編成すべきでない」と回答した企業からは「ただの無駄遣い」(電機)、「国家の危機的な状況対応でもない限り不要。補正予算の常態化は異常」(サービス)などの厳しい指摘が相次いだ。「財政安定化を優先すべき」(化学)との意見のほか、「補正予算の目的を明確にすべき。参院選のためでは、国民が納得しない」(運輸)との声も聞かれた。

期待する経済対策については、「規制緩和をはじめとする制度整備を進めるべき」との回答が62%と一番多かった。「金利や物価の上昇の速度に購買力上昇が追いついていない部分を補強すべき」(小売)、「弱い企業の延命ではなく、強い企業を海外で戦えるといったより強靭(きょうじん)にするための政策を希望する」(化学)との指摘があった。

また「ㇳランプ関税による影響で国内の景気に落ち込みがあれば、(ばらまきではなく)適切な景気刺激策を期待する」(化学)、「成長分野を詳細に精査して雇用や税収増を見込める分野に対策すべき、ばらまきは無駄遣い」(サービス)との声も多く聞かれた。参院選に向け与野党からは、現金給付や消費減税といった選挙公約も散見されている。

次いで「ガソリン暫定税率の廃止」の37%とほぼ同率で「消費税減税」が36%と並んだ。さらに、補助金配布との回答も「企業向け」で24%、「家計向け」で23%あった。

企業からは「国内消費が低迷していることなどから、消費税の減税は必須」(輸送用機器)、「消費税にこだわらず全般的な減税を望む。補助金は増やすプラス減らすのセットで、トータルは増やさないように」(輸送用機器)といった声が聞かれた。

経済対策の財源としては「他の歳出カット」が38%、「税収の上振れ分の活用」が36%で、既存の政策の枠組みの中での確保を求める声が多かった。

「国債発行」は14%、「予備費の活用」は12%で、国内総生産(GDP)の約2.5倍まで拡大している債務残高がさらに増えることには消極的な姿がうかがえた。

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