ニュース速報
ビジネス

事業投資に必須な経営の自由度と採算性確保=USスチール買収で日鉄CEO

2025年06月19日(木)11時45分

日本製鉄の橋本英二会長兼最高経営責任者(CEO)は19日、米鉄鋼大手USスチールの買収手続き完了を受けて会見し「米政府との合意は満足いくもの」とし「事業投資に必須な経営の自由度と採算性は確保されている」と述べた。写真は6月19日、東京で撮影(2025年 ロイター/Issei Kato)

Ritsuko Shimizu

[東京 19日 ロイター] - 日本製鉄の橋本英二会長兼最高経営責任者(CEO)は19日、米鉄鋼大手USスチールの買収手続き完了を受けて会見し、「米政府との合意は満足いくもの」とし「事業投資に必須な経営の自由度と採算性は確保されている」と述べた。

米政府は、USスチールの「黄金株」を持つことで独立取締役1名の選任権やコミットした設備投資の削減、米国内の競合事業の重要な買収などに一定の権利を有することになる。ただ、こうした項目を一つ一つみても「やりたいことについて阻害されることはない」と強調した。

米政府は日鉄に対し、USスチールの生産能力の維持・拡大、商品メニューを増やすための積極投資の実行、それを雇用拡大と貿易赤字の縮小につなげることを期待していると指摘。「これはグローバルでの事業拡大を目指している日鉄の目的と完全に合致しており、投資の実行を監督したいという米政府の意向を受け入れることとした」と説明した。

この買収は「日鉄が世界一に復権するために必要かつ有効な戦略」と位置付けた一方「USスチールが再生し発展していく唯一の方策」とし、ウィンウィン(双方にメリットのある)の取引だと述べた。

買収計画を公表した時点では米高関税は前提としていなかったが、高関税政策に転換したことで「米国での事業展開の戦略的な重要性はますます高まっていく」と述べ、この買収の重要性を強調。また、USスチールはスロバキアにも100%子会社で一貫製鉄所を持っており、米欧の拠点を同時に手に入れることで「グローバルネットワークが一気に完成する」と述べた。

<巨額買収資金・投資のための資金調達>

今回の買収は、141億ドル(約2兆円)の買収資金に加え、2028年までに110億ドル(約1兆6000億円)の設備投資を約束している。

森高弘副会長は、資金調達について「増資の可能性はないわけではない。当然、最適な資金調達の方法を模索していくため、視野の中には入っている」と述べた。ただ「希薄化が起こるような形での増資は考えていない。USスチールが統合されて、EPS(1株当たり純利益)が変わらない範囲内で行う」とした。

ロイター
Copyright (C) 2025 トムソンロイター・ジャパン(株) 記事の無断転用を禁じます。

あわせて読みたい
ニュース速報

ビジネス

TDK、米スマートグラスのソフトアイ社を買収=関係

ビジネス

経済・金融見通し、極めて不確実 スイス中銀が警告

ビジネス

中国の年央最大商戦「618」、盛り上がりを欠いたま

ワールド

財政危機のバチカン、新教皇レオ14世の動画で献金呼
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:コメ高騰の真犯人
特集:コメ高騰の真犯人
2025年6月24日号(6/17発売)

なぜ米価は突然上がり、これからどうなるのか? コメ高騰の原因と「犯人」を探る

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「うちの赤ちゃんは一人じゃない」母親がカメラ越しに見た「守り神」の正体
  • 2
    10歳少女がサメに襲われ、手をほぼ食いちぎられる事故...「緊迫の救護シーン」を警官が記録
  • 3
    イタリアにある欧州最大の活火山が10年ぶりの大噴火...世界遺産の火山がもたらした被害は?
  • 4
    気温40℃、空港の「暑さ」も原因に?...元パイロット…
  • 5
    「アメリカにディズニー旅行」は夢のまた夢?...ディ…
  • 6
    下品すぎる...法廷に現れた「胸元に視線集中」の過激…
  • 7
    ホルムズ海峡の封鎖は「自殺行為」?...イラン・イス…
  • 8
    マスクが「時代遅れ」と呼んだ有人戦闘機F-35は、イ…
  • 9
    【クイズ】「熱中症」は英語で何という?
  • 10
    ロシア人にとっての「最大の敵国」、意外な1位は? …
  • 1
    気温40℃、空港の「暑さ」も原因に?...元パイロットが指摘する、墜落したインド航空機の問題点
  • 2
    「うちの赤ちゃんは一人じゃない」母親がカメラ越しに見た「守り神」の正体
  • 3
    ブラッド・ピット新髪型を「かわいい」「史上最高にかっこいい」とネット絶賛 どんなヘアスタイルに?
  • 4
    「サイドミラー1つ作れない」レアアース危機・第3波で…
  • 5
    大阪万博は特に外国人の評判が最悪...「デジタル化未…
  • 6
    「タンパク質」より「食物繊維」がなぜ重要なのか?.…
  • 7
    右肩の痛みが告げた「ステージ4」からの生還...「生…
  • 8
    イタリアにある欧州最大の活火山が10年ぶりの大噴火.…
  • 9
    庭にクマ出没、固唾を呑んで見守る家主、そして次の…
  • 10
    サイコパスの顔ほど「魅力的に見える」?...騙されず…
  • 1
    日本の「プラごみ」で揚げる豆腐が、重大な健康被害と環境汚染を引き起こしている
  • 2
    一瞬にして村全体が消えた...スイスのビルヒ氷河崩壊の瞬間を捉えた「恐怖の映像」に広がる波紋
  • 3
    庭にクマ出没、固唾を呑んで見守る家主、そして次の瞬間...「信じられない行動」にネット驚愕
  • 4
    大爆発で一瞬にして建物が粉々に...ウクライナ軍「Mi…
  • 5
    「ママ...!」2カ月ぶりの再会に駆け寄る13歳ラブラ…
  • 6
    あなたも当てはまる? 顔に表れるサイコパス・ナルシ…
  • 7
    ドローン百機を一度に発射できる中国の世界初「ドロ…
  • 8
    気温40℃、空港の「暑さ」も原因に?...元パイロット…
  • 9
    【クイズ】EVの電池にも使われる「コバルト」...世界…
  • 10
    【定年後の仕事】65歳以上の平均年収ランキング、ワ…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中