エア・インディア、墜落事故で経営再建計画に暗雲

インドの航空大手エア・インディアの旅客機が12日に墜落して200人以上の乗客が死亡した事故により、同社は深刻な危機にひんするとともに、評判の回復と老朽化した機材の刷新へ向けた取り組みに暗雲が垂れ込める事態となった。写真は墜落の現場。12日撮影。(2025年 ロイター/Amit Dave)
[ニューデリー 12日 ロイター] - インドの航空大手エア・インディアの旅客機が12日に墜落して200人以上の乗客が死亡した事故により、同社は深刻な危機にひんするとともに、評判の回復と老朽化した機材の刷新へ向けた取り組みに暗雲が垂れ込める事態となった。
インドの財閥タタ・グループは2022年、それまで国営だったエア・インディアの株式を政府から取得し、積極的な経営再建計画を打ち出した。何年間にもわたり機材への投資が不十分だった状況を反転させ、「ワールドクラスの航空会社」に生まれ変わらせると表明した。
エア・インディアのキャンベル・ウィルソン最高経営責任者(CEO)はこれまで再三、経営再建によって同社がエミレーツ航空といったライバル勢と互角に勝負できるようになると主張してきた。
経営再建計画は、エア・インディアが抱える多様な問題に対処することを目指している。問題には、慢性的な離発着の遅延、顧客からの苦情、予備部品の不足、航空機の納入遅れ、何年間も続いている赤字などが挙げられる。
かつてインドの航空事故調査当局で法務専門家として勤務したビブフティ・デオラ氏は「エア・インディアが生き残るためには、新しい航空機の導入と整備の改善が重要な条件になる。エア・インディアは過去に問題を抱えていたため、適切な整備こそ、彼らが目指すべきものだ」と述べた。
民間航空省が3月に議会に伝えたところによると、エア・インディアが保有する航空機198機のうち、27機は生産から10-15年が経過、43機は15年超が経過している。子会社のエア・インディア・エクスプレスは保有する101機の37%が生産から15年超の経過となっている。
フライトレーダー24によると、12日に墜落した航空機は11年前に生産されたものだ。
こうした状況下でエア・インディアはここ数年で新たな航空機570機を発注しており、さらに数十機の購入について交渉を進めている。
一方で同社は、少なくとも2019─20年度以降は赤字が続いている。23─24年度は売上高46億ドルに対し、純損益は5億2000万ドルの赤字だった。
だがこうした問題の解決へ向けて前進する前に、同社は墜落事故の調査という難しい仕事を抱えている。
CEOのウィルソン氏はビデオメッセージで「エア・インディアの全員にとって困難な日になった」と指摘。「調査には時間を要するだろう」と語った。