FRB9月利下げ再開の流れ鮮明に、物価落ち着きと労働市場軟化示唆で

米連邦準備理事会(FRB)が9月に利下げを再開する道筋が一段と鮮明になってきた。写真は、FRBのビル。2022年1月、ワシントンで撮影(2025年 ロイター/Joshua Roberts)
[12日 ロイター] - 米連邦準備理事会(FRB)が9月に利下げを再開する道筋が一段と鮮明になってきた。12日に発表された指標で、物価の落ち着きと労働市場の軟化が示唆されたためだ。
労働省が発表した5月卸売物価指数(PPI)は前年比上昇率が2.6%と4月の2.5%からわずかに加速したが、予想より低い伸びだった消費者物価指数(CPI)も踏まえると、FRBが重視する個人消費支出(PCE)物価指数は5月の前年比上昇率が目標の2%並みにとどまる公算が大きい、とエコノミストは予想している。
エコノミストの間では、トランプ政権が打ち出した関税措置が今後物価を押し上げるとの見方は変わっていない。しかしパンテオン・マクロエコノミクスのエコノミストチームは「短期的なトレンドはなお好ましい内容で、(FRBは)来週、年内に緩和政策を再び開始する考えを引き続き発信できる」と記した。
週間失業保険申請統計では、新規申請者数が前週比ほぼ横ばいの24万8000件と8カ月ぶりの高水準を維持したほか、継続受給件数は195万件余りと2021年11月以来の規模を記録。失業者の新たな仕事探しがより難しくなっている様子がうかがえる。
連邦海軍信用協同組合連合のチーフエコノミスト、ヘザー・ロング氏は「米国民、特に最近の大卒者は仕事を見つけることの大変さを心配している。この夏にレイオフが拡大すれば、景気後退と消費手控えの懸念が強まるだろう」と述べた。
FRBは17─18日に開く連邦公開市場委員会(FOMC)で政策金利を4.25─4.50%に据え置くことを決める見通し。金利先物は、9月と10月にいずれも25ベーシスポイント(bp)の利下げに動くと想定している。この日の指標発表前の段階では、年内2回目の利下げは12月と見込んでいた。