IMF、次回世界経済見通し下振れするか明言せず 不確実性高さ続くと強調

6月12日、国際通貨基金(IMF)は、7月に発表を予定している次回の世界経済見通しについて、不確実性が大きい状況が続いている点を挙げて、今週世界銀行が示したような成長率が下振れする様相になるかどうかは分からないとの見方を示した。写真は、IMF本部で記者団に話す広報担当者ジュリー・コザック氏。2023年9月、ワシントンで撮影(2025年 ロイター/Andrea Shalal)
[12日 ロイター] - 国際通貨基金(IMF)は12日、7月に発表を予定している次回の世界経済見通しについて、不確実性が大きい状況が続いている点を挙げて、今週世界銀行が示したような成長率が下振れする様相になるかどうかは分からないとの見方を示した。
IMFの広報担当者、ジュリー・コザック氏は、4月の前回見通し発表以降で、経済活動改善を支える幾つかのプラス要素があったと指摘。米中が互いに関税率を大幅に引き下げたことや、米英が貿易協議で合意に達したことに言及した。
コザック氏は、4月9日にトランプ米政権が打ち出した「相互関税」上乗せ分の一時停止も含めてこれらはIMFの前回見通しに比べて経済活動を後押しする可能性があると説明した上で、「しかしわれわれが見通す世界経済は、特に貿易協議が続いている中で依然として高い不確実性にさらされている」と強調した。
同氏は、次回見通しではトランプ大統領による鉄鋼・アルミニウム関税引き上げも考慮さされると付け加えた。
世銀が10日に発表した今年の世界経済成長率見通しは、関税引き上げと不確実性の高まりがほぼ全ての地域の経済に「著しい逆風」をもたらしているとの理由から、1月時点の2.3%から0.4ポイント下方修正された。
ただ世銀が前回成長率見通しを出した1月は、まだトランプ氏の大統領就任前で、米国の主要貿易相手に対する関税措置も発動されていなかった。
一方IMFが4月に見通しを発表した際には、トランプ関税の一部が織り込まれ、1月時点から予想成長率が既に0.5ポイント引き下げられていた。
コザック氏は、次回世界経済見通しの発表は7月末ごろになると述べたが、正確な発表日は明らかにしていない。