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NY市場サマリー(12日)株上昇、ドル下落、利回り4日連続低下

2025年06月13日(金)07時18分

<為替> 終盤のニューヨーク外為市場では、ドルが下落した。5月の卸売物価指数は予想を下回り、連邦準備理事会(FRB)が早期に利下げを再開する可能性が示唆された。一方、中東情勢の緊張の高まりから安全資産に資金が流れ、円とスイスフランは上昇した。

トランプ大統領は11日、中東が「危険な場所になる可能性がある」ため、米国の職員を中東から移動させていると発言。これを背景に、ドルはスイスフランに対して2カ月ぶりの安値、円に対しては約1週間ぶりの安値に沈んだ。

労働省が発表した5月の卸売物価指数(PPI、最終需要向け財・サービス)は前月比0.1%上昇。エコノミスト予想の0.2%上昇を下回った。航空運賃などサービスコストが低下した。

UBSのFXアナリスト、ヴァシリ・セレブリアコフ氏は、関税措置の影響はまだインフレデータに表れていないとしつつ、米国の成長は減速しているようだと指摘。「きょうのデータは、FRBが想定よりも早く、あるいはもう少し大きい幅の利下げを行う可能性を示唆しているようだ」と述べた。

先物市場では、FRBが9月の米連邦公開市場委員会(FOMC)から連続2回の利下げに動くとの見方が高まっている。PPI発表前は、9月に続いて12月に利下げが行われるとの見方が大勢だった。

NY外為市場:[USD/J]

<債券> 米金融・債券市場では、利回りが4営業日連続で低下した。市場はこの日発表された労働市場の悪化と卸売物価の緩やかな上昇を示唆する経済指標を消化している。

また、220億ドルの30年債入札で強い需要が見られたことも、連邦財政赤字の拡大から海外勢が米国市場から資金を引き揚げるのではないかとの懸念緩和につながった。

労働省が発表した6月7日までの1週間の新規失業保険申請件数(季節調整済み)は24万8000件と、前週からほぼ横ばいで推移した。8カ月ぶりの高水準を維持し、雇用の失速が示唆された。

一方、5月の卸売物価指数(PPI、最終需要向け財・サービス)は前年比2.6%上昇し、伸びは4月の2.5%上昇から加速した。

DRWトレーディングの市場ストラテジスト、ルー・ブライアン氏は、投資家は労働市場の弱さに反応している可能性が高いと指摘。また、トランプ大統領の貿易戦争による消費者物価の上昇はまだ現れていないものの、将来的に起こると予想していると述べた。

米金融・債券市場:[US/BJ]

<株式> 米国株式市場は上昇して取引を終えた。ソフトウエア大手オラクルの強気な見通しを受けて人工知能(AI)を巡る楽観的な見方が広がり、中東情勢緊迫化に対する懸念やボーイング株の下落を相殺した。

オラクルは13.3%上昇し過去最高値を更新した。AI関連サービスへの旺盛な需要を背景に通期売上高見通しを上方修正した。

大型ハイテク株のマイクロソフト、エヌビディア、ブロードコムも1%以上上昇した。

B・ライリー・ウェルスのチーフ市場ストラテジスト、アート・ホーガン氏は「オラクルはAI関連の設備投資と、AI革命につながるコンピュート増強の継続的なニーズというモザイクを構成する一角だ。その方向に風が吹けば、マイクロソフトやエヌビディアのような主要プレーヤーも間違いなく追い風を受けることになるだろう」と語った。

インド西部の都市アーメダバードで、242人が搭乗したエア・インディアのボーイング機が離陸直後に市街地に墜落したことを受け、ボーイング株は約5%下落した。

米国株式市場:[.NJP]

<金先物> ニューヨーク商品取引所(COMEX)の金塊先物相場は、米卸売物価指数(PPI)が市場予想を下回り、利下げ期待が強まったことに加え、 中東情勢の緊迫化を背景に安全資産としての需要が高まり、続伸した。

市場では、米連邦準備理事会(FRB)が早ければ9月にも利下げに踏み切るとの観測が一段と強まり、米長期金利が低下。これにつれ為替市場でドルが対ユーロで軟化し、 金の割安感が意識された。

また、トランプ米大統領は11日、「中東は危険な場所になり得る」として米軍関係者の撤収を示唆。イランのナシルザデ国防軍需相はこれに先立ち、同国国営通信などに対し、 対米交渉が決裂した場合、中東地域の米軍基地への攻撃を示唆した。中東情勢緊迫化への警戒感が改めて高まり、安全資産としての金に買いが集まった    

NY貴金属:[GOL/XJ]

<米原油先物> ニューヨーク商業取引所(NYMEX)の原油先物相場は、中東情勢の緊迫化を背景とした前日の騰勢に歯止めがかかり、小反落した。

核開発問題で対立するイランとの協議進展について、トランプ米大統領は11日、米紙とのインタビューで「自信がなくなりつつある」との認識を表明。米国がウラン濃縮活動の停止を求める一方、イランは「平和利用」が目的として譲歩を拒み、双方の主張は平行 線をたどっている。こうした中、イスラエルが敵対するイランへの攻撃準備を完了したと通告したことで、米政権は隣国イラクの大使館職員に避難指示を出したほか、国民に渡航中止を勧告するなどの対応に追われ、相場は11日夕に一時69.30ドル付近まで上昇した。

しかし、米国とイランの第6回高官協議を15日に控え、石油供給網の混乱を警戒した買いはいったん収束。買われ過ぎとの見方が台頭し、12日朝にかけて売りが優勢となっ たが、地政学的リスクへの警戒感は根強く、昼ごろからは68ドル付近でのもみあいが続 いた。米金融機関の試算によると、イランが原油輸送の要衝ホルムズ海峡を閉鎖すれば、世界全体の石油輸出の最大20%が影響を受け、価格が1バレル当たり120─130ド ル前後に跳ね上がる可能性もあるという。

NYMEXエネルギー:[CR/USJ]

ドル/円 NY終値 143.47/143.

52

始値 143.54

高値 143.90

安値 143.19

ユーロ/ドル NY終値 1.1583/1.15

87

始値 1.1592

高値 1.1631

安値 1.1564

米東部時間

30年債(指標銘柄) 17時05分 98*16.0 4.8452

0 %

前営業日終値 97*16.5 4.9090

0 %

10年債(指標銘柄) 17時05分 99*02.5 4.3651

0 %

前営業日終値 98*22.0 4.4140

0 %

5年債(指標銘柄) 17時05分 100*04. 3.9717

00 %

前営業日終値 99*30.2 4.0120

5 %

2年債(指標銘柄) 17時05分 99*29.7 3.9119

5 %

前営業日終値 99*27.7 3.9450

5 %

終値 前日比 %

ダウ工業株30種 42967.62 +101.85 +0.24

前営業日終値 42865.77

ナスダック総合 19662.49 +46.61 +0.24

前営業日終値 19615.88

S&P総合500種 6045.26 +23.02 +0.38

前営業日終値 6022.24

COMEX金 8月限 3402.4 +58.7

前営業日終値 3343.7

COMEX銀 7月限 3629.5 +3.4

前営業日終値 3626.1

北海ブレント 8月限 69.36 ‐0.41

前営業日終値 69.77

米WTI先物 7月限 68.04 ‐0.11

前営業日終値 68.15

CRB商品指数 302.7647 ‐0.3280

前営業日終値 303.0927

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