NY外為市場=ドル下落、中東情勢の緊張で安全通貨買い

終盤のニューヨーク外為市場では、ドルが下落した。2022年7月撮影(2025年 ロイター/Dado Ruvic)
[ニューヨーク 12日 ロイター] - 終盤のニューヨーク外為市場では、ドルが下落した。5月の卸売物価指数は予想を下回り、連邦準備理事会(FRB)が早期に利下げを再開する可能性が示唆された。一方、中東情勢の緊張の高まりから安全資産に資金が流れ、円とスイスフランは上昇した。
トランプ大統領は11日、中東が「危険な場所になる可能性がある」ため、米国の職員を中東から移動させていると発言。これを背景に、ドルはスイスフランに対して2カ月ぶりの安値、円に対しては約1週間ぶりの安値に沈んだ。
労働省が発表した5月の卸売物価指数(PPI、最終需要向け財・サービス)は前月比0.1%上昇。エコノミスト予想の0.2%上昇を下回った。航空運賃などサービスコストが低下した。
UBSのFXアナリスト、ヴァシリ・セレブリアコフ氏は、関税措置の影響はまだインフレデータに表れていないとしつつ、米国の成長は減速しているようだと指摘。「きょうのデータは、FRBが想定よりも早く、あるいはもう少し大きい幅の利下げを行う可能性を示唆しているようだ」と述べた。
先物市場では、FRBが9月の米連邦公開市場委員会(FOMC)から連続2回の利下げに動くとの見方が高まっている。PPI発表前は、9月に続いて12月に利下げが行われるとの見方が大勢だった。
また、労働省が発表した6月7日までの1週間の新規失業保険申請件数(季節調整済み)は24万8000件と、前週からほぼ横ばいで推移した。8カ月ぶりの高水準を維持し、労働市場の状況が引き続き緩和していることを示唆した。
午後の取引では、ドルは対スイスフランで1%超下落の0.8114フラン。一時、4月22日以来の安値となる0.8104フランまで下落した。
ドルは対円では0.7%安の143.59円。取引序盤に一時、1週間ぶり安値まで下落した。
ユーロは対ドルで0.8%高の1.1576ドル。一時、1.1632ドルと、2021年10月以来、約4年ぶりの高値に急騰した。
主要通貨に対するドル指数は、0.5%安の97.95。一時、97.786と、22年3月以来の安値を付けた。
ドル/円 NY午後4時 143.57/143.58
始値 143.54
高値 143.90
安値 143.19
ユーロ/ドル NY午後4時 1.1575/1.1577
始値 1.1592
高値 1.1631
安値 1.1564