UBSに260億ドルの資本増強要求、スイス政府が新規制案公表

スイス政府は6月6日、クレディ・スイス買収に伴いUBSに対してより厳格な規制を提案した。5月1日、チューリヒで撮影(2025年 ロイター/Denis Balibouse)
Ariane Luthi Oliver Hirt
[ベルン 6日 ロイター] - スイス政府は6日、クレディ・スイス買収に伴いUBSに対してより厳格な規制を提案した。UBSは自己資本を260億ドル積み増す必要に迫られることになる。
最も重要なポイントは海外部門の資本増強で、事前の予想通り現在60%の資本計上を100%に引き上げるという内容。法制化後6─8年の準備期間を設けるという。
政府は、規制案によりUBSが保有する追加的ティア1(AT1)債を80億ドル削減できるとしている。
一方、UBSは資本計画が「極端」だと批判。幹部は、資本負担増が同行を競合に対して不利な立場に追いやり、金融センターとしてのスイスの競争力を損なうと述べた。
2023年のクレディ・スイス破綻はスイスに大きな衝撃を与え、ケラーズッター財務相らはより厳格な規制導入を表明。新たな規制案の発表を受け、連邦議会で政治的論争が始まることになる。
ケラーズッター氏は規制案について「金融セクターの安定、ひいては経済と納税者の保護にとって極めて重要だ」と会見で述べた。UBSの対応次第では、規制が大幅に縮小される可能性もあるという。
UBSの関係者は、新規制によって同行が買収対象になる可能性があると警告。社内で検討されたシナリオには、本社をスイス国外に移すことも含まれているという。一方、ケラーズッター氏は国内にとどまることを望んでいると述べた。
規制案の発表を受け、6日のUBS株価は一時7%上昇し、昨年5月以来の高値を付けた。