コラム

異常気象が「平常」とはまるでジョークか禅問答

2022年01月06日(木)11時10分
雨乞いを検討中

ILLUSTRATION BY AYAKO OCHI FOR NEWSWEEK JAPAN

<カーボン・ニュートラルへの関心が世界的に高まっている。だが温暖化に関する各国の取り組みは、足並みがそろっていないところもあり難しい>

【異常気象】

とある村で異常気象が続き、村人は深刻な干ばつに悩まされていた。

村人たちは対策を話し合った。その結果、次の日曜日に村の中央にある広場に集まり、大規模な雨乞いをすることに決めた。

当日、もし雨が降った場合は、集会所でやることにした。

◇ ◇ ◇

世界気象機関(WMO)は、猛暑や大洪水などの「異常気象はもはや新しい平常になっている」と指摘している。

「異常が平常」とは、まるでジョークか禅問答のような表現だが、確かに日本でも「数十年に1度の自然災害」が毎年のように起きる事態となった。

一部の過激な環境保護団体による攻撃的な言論や活動には辟易する面もあるが、冷静な議論と研究は進めるべきであろう。

イタリアの公立学校では、気候変動に関する授業が既に義務化されている。これは世界で初めての試みであったが、同国は環境教育面において世界をリードする国家を目指しているという。

アメリカでは都市部の気温上昇を抑えるため、「道路を白く塗装する」という取り組みを実施。ロサンゼルス市はこのような対策により、ヒートアイランド現象を抑制していく方針である。

日本では脱炭素社会の実現に向けて、二酸化炭素(CO2)を吸収できる特殊なコンクリートの開発や実用化が進められている。打設時や設置時に二酸化炭素をコンクリートに吸わせ、内部に固定する技術などが既に実現されている。

カーボン・ニュートラル(温暖化ガス排出量を実質的にゼロにすること)への関心が世界的に高まるなかで、日本の技術は新たな市場を開拓する可能性を有している。

「グリーン成長戦略」を掲げる日本政府によれば、二酸化炭素を吸収するコンクリートの市場規模は2030年に15兆~40兆円に達するという。

政府が普及を支援する鹿島のコンクリートの名称は、ズバリ「CO2-SUICOM(シーオーツースイコム)」。ネーミングのセンスに関しては何も言うまい。

ただし、地球温暖化に関する各国の取り組みは、足並みがそろっているとは言い難い。

プロフィール
あわせて読みたい
ニュース速報

ワールド

日米韓が合同訓練、B52爆撃機参加 3カ国制服組ト

ビジネス

上海の規制当局、ステーブルコイン巡る戦略的対応検討

ワールド

スペイン、今夏の観光売上高は鈍化見通し 客数は最高

ワールド

トランプ氏、カナダに35%関税 他の大半の国は「一
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:大森元貴「言葉の力」
特集:大森元貴「言葉の力」
2025年7月15日号(7/ 8発売)

時代を映すアーティスト・大森元貴の「言葉の力」の源泉にロングインタビューで迫る

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「弟ができた!」ゴールデンレトリバーの初対面に、ネットが感動の渦
  • 2
    シャーロット王女の「ロイヤル・ボス」ぶりが話題に...「曾祖母エリザベス女王の生き写し」
  • 3
    トランプ関税と財政の無茶ぶりに投資家もうんざり、「強いドルは終わった」
  • 4
    日本企業の「夢の電池」技術を中国スパイが流出...AP…
  • 5
    アメリカを「好きな国・嫌いな国」ランキング...日本…
  • 6
    アメリカの保守派はどうして温暖化理論を信じないの…
  • 7
    名古屋が中国からのフェンタニル密輸の中継拠点に?…
  • 8
    【クイズ】日本から密輸?...鎮痛剤「フェンタニル」…
  • 9
    ハメネイの側近がトランプ「暗殺」の脅迫?「別荘で…
  • 10
    犯罪者に狙われる家の「共通点」とは? 広域強盗事…
  • 1
    ディズニー・クルーズラインで「子供が海に転落」...父親も飛び込み大惨事に、一体何が起きたのか?
  • 2
    「弟ができた!」ゴールデンレトリバーの初対面に、ネットが感動の渦
  • 3
    日本企業の「夢の電池」技術を中国スパイが流出...APB「乗っ取り」騒動、日本に欠けていたものは?
  • 4
    後ろの川に...婚約成立シーンを記録したカップルの幸…
  • 5
    シャーロット王女の「ロイヤル・ボス」ぶりが話題に..…
  • 6
    「やらかした顔」がすべてを物語る...反省中のワンコ…
  • 7
    「本物の強さは、股関節と脚に宿る」...伝説の「元囚…
  • 8
    「飛行機内が臭い...」 原因はまさかの「座席の下」…
  • 9
    為末大×TAKUMI──2人のプロが語る「スポーツとお金」 …
  • 10
    職場でのいじめ・パワハラで自死に追いやられた21歳…
  • 1
    「コーヒーを吹き出すかと...」ディズニーランドの朝食が「高額すぎる」とSNSで大炎上、その「衝撃の値段」とは?
  • 2
    「あまりに愚か...」国立公園で注意を無視して「予測不能な大型動物」に近づく幼児連れ 「ショッキング」と映像が話題に
  • 3
    10歳少女がサメに襲われ、手をほぼ食いちぎられる事故...「緊迫の救護シーン」を警官が記録
  • 4
    JA・卸売業者が黒幕説は「完全な誤解」...進次郎の「…
  • 5
    ディズニー・クルーズラインで「子供が海に転落」...…
  • 6
    気温40℃、空港の「暑さ」も原因に?...元パイロット…
  • 7
    燃え盛るロシアの「黒海艦隊」...ウクライナの攻撃で…
  • 8
    「小麦はもう利益を生まない」アメリカで農家が次々…
  • 9
    イランを奇襲した米B2ステルス機の謎...搭乗した専門…
  • 10
    「うちの赤ちゃんは一人じゃない」母親がカメラ越し…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story