コラム

元CIA工作員が、かつての敵国ベトナムを訪問して新たに発見したこと

2024年11月27日(水)08時00分

「共産主義者たちはとても『ハード』でした」

総距離250キロに及ぶ手掘りのトンネルは、今でこそ観光スポットになっているが、ベトナム戦争当時は南ベトナム解放民族戦線(ベトコン)が米軍などとの戦いの拠点として用い、ゲリラ戦の激戦地になった。これまでに私が訪れた戦跡の中では、第1次大戦の戦場であるフランスのベルダンと並んで最も気がめいる場所だ。

ベトナム人のガイドたちは職務に忠実に、おおむねバランスの取れた説明をしつつ、民主主義、人権、経済的機会、個人の主体性についても語った。「大学生になって初めて選挙に行くと、既に教授が学生全員の票を共産党の候補に投票していました」と、あるガイドは言った。「これがこの国の民主主義の現実です」


「(共産主義者たちは)とても『ハード』でした」。南部でガイドしてくれた人物はそう言うと、言葉を選ぶように一瞬沈黙した。「そう......とても強い姿勢で私たちに接したのです。長い間、私たちにはチャンスがありませんでした」

ベトナムの経済は好調に見えると私が指摘すると、このガイドは言った。「私たちの国では、ほかの途上国やアメリカと違って、物乞いの姿を見ることがありません。働かないベトナム人はいません。必ず道はある。もし職がなければ、自分で仕事をつくればいいのです」

プロフィール

グレン・カール

GLENN CARLE 元CIA諜報員。約20年間にわたり世界各地での諜報・工作活動に関わり、後に米国家情報会議情報分析次官として米政府のテロ分析責任者を務めた

あわせて読みたい
ニュース速報

ビジネス

運用に政治持ち込むべきでない、ブラックロックが共和

ワールド

国際航空団体、パイロットの定年引き上げを提案 67

ビジネス

三菱商事、バークシャーが保有株積み増し 10.23

ワールド

マクロスコープ:インド首相来日へ、日系企業は「玄人
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:健康長寿の筋トレ入門
特集:健康長寿の筋トレ入門
2025年9月 2日号(8/26発売)

「何歳から始めても遅すぎることはない」――長寿時代の今こそ筋力の大切さを見直す時

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    信じられない...「洗濯物を干しておいて」夫に頼んだ女性が目にした光景が「酷すぎる」とSNS震撼、大論争に
  • 2
    「どんな知能してるんだ」「自分の家かよ...」屋内に侵入してきたクマが見せた「目を疑う行動」にネット戦慄
  • 3
    脳をハイジャックする「10の超加工食品」とは?...罪悪感も中毒も断ち切る「2つの習慣」
  • 4
    【クイズ】1位はアメリカ...稼働中の「原子力発電所…
  • 5
    「ガソリンスタンドに行列」...ウクライナの反撃が「…
  • 6
    「1日1万歩」より効く!? 海外SNSで話題、日本発・新…
  • 7
    プール後の20代女性の素肌に「無数の発疹」...ネット…
  • 8
    イタリアの「オーバーツーリズム」が止まらない...草…
  • 9
    「美しく、恐ろしい...」アメリカを襲った大型ハリケ…
  • 10
    「あなた誰?」保育園から帰ってきた3歳の娘が「別人…
  • 1
    「まさかの真犯人」にネット爆笑...大家から再三「果物泥棒」と疑われた女性が無実を証明した「証拠映像」が話題に
  • 2
    信じられない...「洗濯物を干しておいて」夫に頼んだ女性が目にした光景が「酷すぎる」とSNS震撼、大論争に
  • 3
    プール後の20代女性の素肌に「無数の発疹」...ネット民が「塩素かぶれ」じゃないと見抜いたワケ
  • 4
    皮膚の内側に虫がいるの? 投稿された「奇妙な斑点」…
  • 5
    なぜ筋トレは「自重トレーニング」一択なのか?...筋…
  • 6
    飛行機内で隣の客が「最悪」のマナー違反、「体を密…
  • 7
    中国で「妊娠ロボット」発売か――妊娠期間も含め「自…
  • 8
    「あなた誰?」保育園から帰ってきた3歳の娘が「別人…
  • 9
    20代で「統合失調症」と診断された女性...「自分は精…
  • 10
    脳をハイジャックする「10の超加工食品」とは?...罪…
  • 1
    「週4回が理想です」...老化防止に効くマスターベーション、医師が語る熟年世代のセルフケア
  • 2
    こんな症状が出たら「メンタル赤信号」...心療内科医が伝授、「働くための」心とカラダの守り方とは?
  • 3
    「自律神経を強化し、脂肪燃焼を促進する」子供も大人も大好きな5つの食べ物
  • 4
    デカすぎ...母親の骨盤を砕いて生まれてきた「超巨大…
  • 5
    デンマークの動物園、飼えなくなったペットの寄付を…
  • 6
    「まさかの真犯人」にネット爆笑...大家から再三「果…
  • 7
    ウォーキングだけでは「寝たきり」は防げない──自宅…
  • 8
    信じられない...「洗濯物を干しておいて」夫に頼んだ…
  • 9
    山道で鉢合わせ、超至近距離に3頭...ハイイログマの…
  • 10
    「レプトスピラ症」が大規模流行中...ヒトやペットに…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story