最新記事
通信インフラ

バルト海の海底ケーブル切断は中国船の破壊工作か

2024年11月25日(月)13時08分
シャノン・ティエジー(ディプロマット誌編集長)
デンマークの海域に停泊中の貨物船「伊鵬3」

デンマークの海域に停泊中の貨物船「伊鵬3」(11月20日) MIKKEL BERG PEDERSENーRITZAU SCANPIXーREUTERS

バルト海の海底で24時間に2本のインターネットケーブルが切断され、欧州各国政府は中国船の関与を疑っている。

まず11月17日、リトアニアとスウェーデンを結ぶ海底ケーブルが切断され、運用を停止。報道によれば、翌18日にはフィンランドとドイツを結ぶ別のケーブルも切断された。


スウェーデン、フィンランド、ドイツの当局は直ちに調査を開始。フィンランドとドイツの外相は共同声明で「海底ケーブル切断を深く懸念する」と述べ、「意図的損傷の疑いがある」と指摘した。

さらにドイツのピストリウス国防相は記者団にこう語った。「ケーブルが誤って切断されたとは誰も思わない。まだ確証はないが、破壊工作とみなければならない」

各国政府は現在、両ケーブルが損傷した際に近くにいた中国船籍の貨物船「伊鵬3」を注視している。「船舶追跡データによれば、伊鵬3は両海底ケーブル上の海域で減速・停止した。1つのケースでは、1時間以上その場に停泊していた」と、米ナショナル・パブリック・ラジオ(NPR)は報じた。

さらに疑いを濃厚なものにしているのが、この船が海底ケーブル上を横切る直前、バルト海に面したロシアの港に寄港していた事実だ。NATO当局は以前から、ロシアがウクライナとの戦争における「ハイブリッド戦」の一環として、ヨーロッパの通信インフラに損害を与えようとする可能性を警告していた。

対談
為末大×TAKUMI──2人のプロが語る「スポーツとお金」 セカンドキャリアの前に「考えるべき」こととは?
あわせて読みたい
ニュース速報

ビジネス

米国株式市場=小反発、ナスダック最高値 決算シーズ

ワールド

トランプ氏、ウクライナ兵器提供表明 50日以内の和

ワールド

ウへのパトリオットミサイル移転、数日・週間以内に決

ワールド

トランプ氏、ウクライナにパトリオット供与表明 対ロ
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:AIの6原則
特集:AIの6原則
2025年7月22日号(7/15発売)

加速度的に普及する人工知能に見えた「限界」。仕事・学習で最適化する6つのルールとは?

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「史上最も高価な昼寝」ウィンブルドン屈指の熱戦中にまさかの居眠り...その姿がばっちり撮られた大物セレブとは?
  • 2
    真っ赤に染まった夜空...ロシア軍の「ドローン700機」に襲撃されたキーウ、大爆発の瞬間を捉えた「衝撃映像」
  • 3
    どの学部の卒業生が「最も稼いでいる」のか? 学位別「年収ランキング」を発表
  • 4
    エリザベス女王が「うまくいっていない」と心配して…
  • 5
    「お腹が空いていたんだね...」 野良の子ネコの「首…
  • 6
    【クイズ】次のうち、生物学的に「本当に存在する」…
  • 7
    千葉県の元市長、「年収3倍」等に惹かれ、国政に打っ…
  • 8
    「ベンチプレス信者は損している」...プッシュアップ…
  • 9
    イギリスの鉄道、東京メトロが運営したらどうなる?
  • 10
    日本より危険な中国の不動産バブル崩壊...目先の成長…
  • 1
    「ベンチプレス信者は損している」...プッシュアップを極めれば、筋トレは「ほぼ完成」する
  • 2
    「弟ができた!」ゴールデンレトリバーの初対面に、ネットが感動の渦
  • 3
    「お腹が空いていたんだね...」 野良の子ネコの「首」に予想外のものが...救出劇が話題
  • 4
    日本企業の「夢の電池」技術を中国スパイが流出...AP…
  • 5
    千葉県の元市長、「年収3倍」等に惹かれ、国政に打っ…
  • 6
    どの学部の卒業生が「最も稼いでいる」のか? 学位別…
  • 7
    イギリスの鉄道、東京メトロが運営したらどうなる?
  • 8
    エリザベス女王が「うまくいっていない」と心配して…
  • 9
    完璧な「節約ディズニーランド」...3歳の娘の夢を「…
  • 10
    トランプ関税と財政の無茶ぶりに投資家もうんざり、…
  • 1
    「コーヒーを吹き出すかと...」ディズニーランドの朝食が「高額すぎる」とSNSで大炎上、その「衝撃の値段」とは?
  • 2
    「あまりに愚か...」国立公園で注意を無視して「予測不能な大型動物」に近づく幼児連れ 「ショッキング」と映像が話題に
  • 3
    10歳少女がサメに襲われ、手をほぼ食いちぎられる事故...「緊迫の救護シーン」を警官が記録
  • 4
    JA・卸売業者が黒幕説は「完全な誤解」...進次郎の「…
  • 5
    ディズニー・クルーズラインで「子供が海に転落」...…
  • 6
    気温40℃、空港の「暑さ」も原因に?...元パイロット…
  • 7
    燃え盛るロシアの「黒海艦隊」...ウクライナの攻撃で…
  • 8
    「小麦はもう利益を生まない」アメリカで農家が次々…
  • 9
    イランを奇襲した米B2ステルス機の謎...搭乗した専門…
  • 10
    「うちの赤ちゃんは一人じゃない」母親がカメラ越し…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中