ゴルバチョフを憎むロシア国民...彼らが気付いていない、国に残された「遺産」

ゴルバチョフの記念碑(ベルリン) Lisi Niesner-Reuters
<ペレストロイカとグラスノスチがソ連崩壊を招き、国のGDPを大幅に縮小させたと考える国民は多いが、ゴルバチョフの功績は今も国に生き続ける>
1980年代初めに私がCIAで働き始めた頃、共産主義大国のソ連は恐ろしい巨大な帝国に見えていた。その後、ソ連の最高指導者が相次いで在任中に死去した。82年にレオニード・ブレジネフが死去し、ユーリー・アンドロポフが最高指導者に就任。ところが、84年にアンドロポフが死去し、その後を継いだコンスタンチン・チェルネンコも85年に死去した。
その後、ソ連のトップに就いたのが、今年8月30日に91歳で死去したミハイル・ゴルバチョフだった。当時54歳のゴルバチョフは、歴代の最高指導者より若く、エネルギッシュなリーダーだった。
ゴルバチョフが最高指導者に就任した当時のソ連は、冷笑主義が蔓延し、社会と経済が機能不全に陥っていた。ロシア中央部の炭鉱地帯から首都モスクワに向けて石炭を満載した貨物列車が走り、その一方でモスクワから炭鉱地帯に向けて石炭を満載した貨物列車が走り、しかもいずれのルートでも途中で石炭の半分が盗まれてしまう──という有り様だった。
87年初めに、CIAのソ連専門家が私と同僚たちにソ連の現状について説明したことがあった。「5年後には、東ヨーロッパからロシアの兵士はいなくなっているだろう」と、その人物は語った。話を聞いていた私たちは言葉を失ったものだ。
この専門家は、少しだけ予想を外した。ロシアの兵士が東ヨーロッパを去ったのは、5年後ではなく7年後の94年のことだった。これに先立つ91年に、ソ連は既に崩壊していた。
開放的で近代的な社会を目指した
このような劇的な変化は、国の活力を取り戻し、より開放的で近代的な社会を築くことを目指したゴルバチョフの政治の産物だった。ゴルバチョフは、世界を大きく様変わりさせたのである。
ゴルバチョフの政治は、2つの政策が柱を成していた。「ペレストロイカ(改革)」と「グラスノスチ(情報公開)」である。しかし、これらの政策を推し進める過程でソ連は崩壊し、ただでさえ機能していなかったロシア経済はいっそう苦境に陥った。ロシア経済の状況が悪化するのに伴い、ロシアの人々の怒りの矛先がゴルバチョフに向けられるようになっていった。
ゴルバチョフは、ソ連の外交政策も大きく転換させた。アメリカと軍縮合意を結び、アフガニスタンからのソ連軍撤退も決めた。
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