ニッポンを再び「大国」にした、安倍元首相の功罪とは?
軍事面では、安倍は憲法9条を改正し、憲法に自衛隊を明記することを目指していた。東アジアの安全保障環境の変化――具体的には中国と北朝鮮の潜在的脅威の増大――への対応力を強化することが狙いだった。
結局、最後まで憲法改正という目標を達成することはできなかったが、安倍は、アメリカなど日本と密接な関係にある国が攻撃を受けた場合に、一定の要件の下で集団的自衛権を限定的に行使できるようにするなど、憲法9条による制約を弱めた。
自衛隊に「多用途運用護衛艦」が導入されたのも安倍政権でのことだ。この「護衛艦」は実質的に、第2次大戦後はじめて日本が保有する「空母」である。F35戦闘機の導入計画も、安倍政権下で拡大された。
主として安倍が推し進めた政策により、憲法9条は変更されていないにもかかわらず、日本の防衛力は着実に強化されてきた。ある有力なランキングによれば、現在、日本の防衛力は世界5位と評価されている。
成功とは言えない側面も
経済分野でも、安倍は極めて戦略的に首尾一貫した政策を遂行した。安倍政権の遺産として後の時代に最も記憶されるのは、おそらく「アベノミクス」だろう。
低成長と停滞の日々が20年続いた日本経済を活性化させることを目的とするアベノミクスは、大胆な金融緩和を内容とする金融政策、大規模な財政出動を内容とする財政政策、そして、規制緩和など経済活動を刺激するための成長戦略という「3本の矢」で構成されていた。
アベノミクスには功と罪の両方があった。最初は狙いどおり物価上昇と経済成長が実現したが、その後、物価と成長率は再び落ち込んだ。
日本政府が経済を活性化させるためにつぎ込んだ資金の多くは株価の上昇をもたらしただけだったため、日本社会で経済的格差が拡大する結果を招いたことも否定できない。
規制緩和に関しては、電力市場の自由化には成功したし、外国人労働者の受け入れを拡大させたり、女性の労働参加を増やしたりするなど、労働市場の自由化にもある程度成功した。しかし、それ以外の領域で自由化が大きく進展したとは言い難い。
それでも、アベノミクスは、日本の経済政策当局が大胆な行動を取る道を開き、それまでの経済政策の常識を変えたという点で、歴史に名を残すだろう。
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