松山英樹は、大坂なおみのように人種問題に言及すべきだったのか?

寡黙な松山の振る舞いはアジア人の地位向上につながるか MIKE SEGAR-REUTERS
<人種問題について発言することを自らの義務とする大坂のアプローチが変革を促す一方で、松山の振る舞いもまた違った可能性を秘めている>
2人の偉大な日本人アスリート、松山英樹と大坂なおみがアメリカで頂点を極めたのと時を同じくして、アメリカ社会は人種問題をめぐって大きな混乱に陥っている。
アメリカでは近年、警察官による黒人男性の殺害が相次いだことを発端に、人種間の緊張が高まっていた。それに加えて、最近はアジア系市民へのヘイトクライムが増えている。それを受けて、各界の有名人や大企業がマイノリティーの権利擁護と平等を支持する姿勢を明確にし始めた。
松山と大坂にとっては難しい状況だ。アジア系へのヘイトクライムに関して発言すべきか。それとも、公の場で競技以外のことを話さないようにしたほうが賢明なのか。
アメリカの歴史では、政治的な意思表示をしたアスリートがしばしば大きな不利益を被ってきた。プロボクサーのモハメド・アリは1960年代にベトナム戦争への徴兵を拒否したことで、世界チャンピオンのタイトルを剝奪され、裁判で有罪判決を下された(判決は最高裁で覆された)。
1968年のメキシコ五輪では、陸上男子200メートルでメダルを獲得した2人の黒人選手が差別に抗議するために、表彰台でこぶしを突き上げた。この行動により、2人の選手はその後の競技人生が事実上閉ざされた。
2016年、アスリートの政治的発言をめぐる論争が再び持ち上がった。黒人のNFL選手、コリン・キャパニックが黒人に対する警察の暴力に抗議し、試合前の国歌斉唱の際に起立することを拒み、片膝をついたのだ。この行動は激しい論争を招き、キャパニックは所属チームを失った。それに対し、さまざまな競技のアスリートが国歌斉唱時に片膝をついて、彼への連帯を表明した。
そして2020年、黒人男性ジョージ・フロイドが警察官の暴行により死亡した事件をきっかけに、BLM(=黒人の命は大事)運動が盛り上がった。さらに、トランプ前大統領の悪意ある反アジア人発言に触発されて、アジア系への暴力も深刻化している。
こうした社会情勢の下で、今年の男子ゴルフ、マスターズ・トーナメントが開催され、松山がアジア人初の優勝を果たした。しかし、松山は控えめな態度を貫き、アジア系への暴力について言及することは避けている。これは、プレーに徹するという旧来の無難なアプローチと言えるだろう。
一方、大坂は人種問題について発言することを自分の義務と位置付けていて、「沈黙は決して答えではない」と述べている。2020年8月には、警察の黒人に対する暴力に抗議して試合を棄権する意向を一時表明したこともあった。
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