日米安保見直しの可能性をトランプが示唆した今、これが日本の進むべき道だ
経済力
中国の台頭はアジア全域、さらには世界全体に暗い影を投げ掛けている。一方で、アメリカは退潮気味で、トランプ政権の下で支離滅裂な行動を繰り返している。第5世代(5G)通信と華為技術(ファーウェイ・テクノロジーズ)の問題は、中国の影響力増大とそれに伴うリスクを浮き彫りにした。
だが、日本のNEC、韓国のサムスン電子、アメリカのアドバンスト・マイクロ・デバイス(AMD)が緩やかに連携して、5G技術におけるファーウェイの覇権に対抗しようとする現在の動きは、日本の経済的、技術的な問題に対処するいい方法だ。同時に、国力と国際協力の強化も図れる。
中国の「一帯一路」の日本版である「質の高いインフラ投資」構想は、中国の経済的、政治的影響力拡大に対する重要な戦略的回答になる可能性を秘めている。TPP(環太平洋経済連携協定)は、中国の台頭に対する最良の回答だったが、愚かにもトランプがつぶしてしまった。アメリカの大統領が交代すれば、TPPが復活する可能性はまだある。
軍事
米軍による傘は今後もずっと、日本の安全保障の中核であり続けるはずだ。ただし、現在この傘は戦後で最も不確かに見える。中国の軍事力増強だけを考えても、不安定な状態はこれからも続くだろう。日本の再軍備に対する懸念は理解できるが、日本は今や自前の軍事力強化が必要な時期に来ている。
国際関係は力の空白を嫌う。いずれ新しい均衡点が見つかるはずだ。他国がその均衡点を勝手に決めてしまわないように、国際社会における不確実性の増加を軍事力強化と外交によって埋め合わせることは日本の国益にかなう。
従って、ステルス戦闘機F35の購入や護衛艦「いずも」の事実上の空母化は、日本にとって賢明なステップだ。ただし現時点で核武装は選択すべきではない。日本の安全保障を強化する以上に、国際システムを不安定にさせる公算が大きいからだ。
ここに挙げた施策のどれも、パックス・アメリカーナの退潮と国際社会の混乱を完全に埋め合わせるものではない。だが日本の(そしておそらく国際社会の)安全保障と繁栄を強化することは確実だ。
安全保障の裏付けなき多国間外交、中国や北朝鮮やアメリカへの言葉だけの説得、安易な平和主義といった選択肢に頼れば、日本は運命を他国の手に委ねることになる。他国はあくまで「自国ファースト」なのだ。
<2019年7月9日号掲載>
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