コラム

複利は魔法。その恩恵を受けるために重要なのは「好き嫌い」(武田双雲×藤野英人)

2021年05月24日(月)16時05分
藤野英人、武田双雲

「お金のまなびば!」より

<「お金は自らの体を切り売りしたことの対価」という、多くの人が抱える歪んだお金観を指摘する藤野氏に、書道界の異端児、武田氏は......。複利は、投資に役立つだけでなく、人生をもゆたかにする>

ひふみ投信シリーズのファンドマネージャーとして知られる藤野英人氏と、お金や投資、経済について学んでいくYouTubeチャンネル「お金のまなびば!」

前回(人生はほとんど運。運が良い人・悪い人の決定的な差とは?)に引き続き、同チャンネルの動画「【藤野英人×武田双雲】複利効果で成果を出す!今すぐできる簡単習慣」から、藤野氏と書道家・武田双雲氏が考えるお金持ちや成功者の共通点について取り上げる。

複利とは、「元本についた利子に対してさらに利子がつくこと」を指す。長期投資のメリットを説明する際に使われる言葉だが、実は普段の生活においても、知らないうちに複利の恩恵を受けていることがある。

例えば、武田氏が独自に考案した「1.01理論」がある。毎日1%ずつ、わずかな変化を積み重ねていけば、複利効果で長期的には大きな変化を期待できるという考え方だ。

「数学論で考えると成功のもとは失敗でできているのだから、失敗をいかに多く経験するかが大事。失敗しても痛くないこと、普通の人がしないことをたくさんする。自分もとにかく数を打った」

そもそも武田氏が注目を集めたのは、ストリート書道家として即興で文字を書くパフォーマンスがきっかけだった。そういった他の書道家とは異なる言動は批判されることも多いが、「それ以上に勢いがあった」と自ら振り返る。

「一歩を踏み出すことが重要だが、行動できない人は、その一歩を大きいと思っている。『ちょっとずつの変化を大量に』が僕のやり方」

そんな武田氏の「1.01理論」は私生活にも応用されているという。

長年連れ添った夫婦ほど、結婚当初のような細やかな気遣いや愛情表現は影を潜め、新鮮さは失われがちだ。その状況を武田氏は「自分の見方や感性が劣化しているだけ。妻が劣化しているわけではない」と捉え、毎日「おはよう」の言い方を変えたり、「きれいだね」と言ったりすることで、「以前よりも妻がきれいに見える」と自身の変化を語っている。

fujino20210524takeda-talk-2-2.jpg

「お金のまなびば!」より

お金が増えるほど、痛みも苦しみも増える人がいる

カリスマ投資家の藤野氏は、「複利は魔法」と語る。複利の恩恵を受けるためには継続することが重要だ。しかし、人は嫌いなことを努力し続けることは根本的にできない。成功のカギは、いかに好きなことをやり続けるかにある。

「好きなことをやれる人はごくわずか、特殊な環境の人だけだと反発する人がいるが、そんなことはない。どんなことでもいいから、物事を判断するときに『好き』を重視することが大事」

自身の投資も、95%は好き嫌いで判断するという藤野氏。なぜなら、良いか悪いか、好きか嫌いかで判断するほうが本質的だと考えているからだ。

「良い会社や素敵な人が何かをすると成果が上がり、結果的に業績が上がって自分が儲かる。『儲かるかどうか』を基準にすると、原因と結果を逆に判断していることになる」と、プロ投資家の目線で語る。

プロフィール

藤野英人

レオス・キャピタルワークス 代表取締役会長兼社長、CIO(最高投資責任者)
1966年富山県生まれ。国内・外資大手資産運用会社でファンドマネージャーを歴任後、2003年にレオス・キャピタルワークスを創業。日本の成長企業に投資する株式投資信託「ひふみ投信」シリーズを運用。投資啓発活動にも注力しており、東京理科大学MOT上席特任教授、早稲田大学政治経済学部非常勤講師、日本取引所グループ(JPX)アカデミーフェロー、一般社団法人投資信託協会理事を務める。主な著書に『投資家みたいに生きろ』(ダイヤモンド社)、『投資家が「お金」よりも大切にしていること』(星海社新書)、『さらば、GG資本主義――投資家が日本の未来を信じている理由』(光文社新書)、『「日経平均10万円」時代が来る!』(日経BP 日本経済新聞出版)など。

あわせて読みたい
ニュース速報

ワールド

海自と米海軍が共同訓練、空母ジョージ・ワシントンが

ビジネス

日銀、中立金利の推計公表しない見通し 利上げは経済

ビジネス

日経平均は3日ぶり反発、景気敏感株に物色 トヨタ自

ビジネス

日鉄が中期計画、30年度に実力利益1兆円以上 設備
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:ジョン・レノン暗殺の真実
特集:ジョン・レノン暗殺の真実
2025年12月16日号(12/ 9発売)

45年前、「20世紀のアイコン」に銃弾を浴びせた男が日本人ジャーナリストに刑務所で語った動機とは

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    【衛星画像】南西諸島の日米新軍事拠点 中国の進出を睨み建設急ピッチ
  • 2
    【クイズ】「100名の最も偉大な英国人」に唯一選ばれなかった「ビートルズ」のメンバーは?
  • 3
    人手不足で広がり始めた、非正規から正規雇用へのキャリアアップの道
  • 4
    【揺らぐ中国、攻めの高市】柯隆氏「台湾騒動は高市…
  • 5
    中国軍機の「レーダー照射」は敵対的と、元イタリア…
  • 6
    首や手足、胴を切断...ツタンカーメンのミイラ調査開…
  • 7
    受け入れ難い和平案、迫られる軍備拡張──ウクライナ…
  • 8
    デンマーク国防情報局、初めて米国を「安全保障上の…
  • 9
    「中国人が10軒前後の豪邸所有」...理想の高級住宅地…
  • 10
    「何これ」「気持ち悪い」ソファの下で繁殖する「謎…
  • 1
    日本人には「当たり前」? 外国人が富士山で目にした「信じられない」光景、海外で大きな話題に
  • 2
    【銘柄】オリエンタルランドが急落...日中対立が株価に与える影響と、サンリオ自社株買いの狙い
  • 3
    日本の「クマ問題」、ドイツの「問題クマ」比較...だから日本では解決が遠い
  • 4
    健康長寿の鍵は「慢性炎症」にある...「免疫の掃除」…
  • 5
    兵士の「戦死」で大儲けする女たち...ロシア社会を揺…
  • 6
    【衛星画像】南西諸島の日米新軍事拠点 中国の進出…
  • 7
    キャサリン妃を睨む「嫉妬の目」の主はメーガン妃...…
  • 8
    中国軍機の「レーダー照射」は敵対的と、元イタリア…
  • 9
    ホテルの部屋に残っていた「嫌すぎる行為」の証拠...…
  • 10
    【クイズ】「100名の最も偉大な英国人」に唯一選ばれ…
  • 1
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」に...日本からは、もう1都市圏がトップ10入り
  • 2
    一瞬にして「巨大な橋が消えた」...中国・「完成直後」の橋が崩落する瞬間を捉えた「衝撃映像」に広がる疑念
  • 3
    高速で回転しながら「地上に落下」...トルコの軍用輸送機「C-130」謎の墜落を捉えた「衝撃映像」が拡散
  • 4
    日本人には「当たり前」? 外国人が富士山で目にした…
  • 5
    「999段の階段」を落下...中国・自動車メーカーがPR…
  • 6
    まるで老人...ロシア初の「AIヒト型ロボット」がお披…
  • 7
    「髪形がおかしい...」実写版『モアナ』予告編に批判…
  • 8
    【銘柄】オリエンタルランドが急落...日中対立が株価…
  • 9
    日本の「クマ問題」、ドイツの「問題クマ」比較...だ…
  • 10
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるよ…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story