コラム

パンデミック後の3つの近未来マクロシナリオ

2021年01月07日(木)14時30分

最近では、海外からもそのような声が上がり始めている、12月6日の日本経済新聞に転載されたファイナンシャル・タイムズの社説では、長期の少子高齢化、低成長下でも社会としての品質を保っている日本を評価し、先進事例としてと学びがそこにあるとの指摘をしている。

また、海外の多くの国と比較して、Covid-19により日本の受けているインパクトは軽く、日本のパンデミック耐性は高い。例えば11月24日にアメリカのブルームバーグが公開した世界各国のCovid19に対するレジリエンス(回復力)ランキング(社会としての耐性を人口あたりの感染者数や死亡者数、陽性率といった影響の度合いとコロナ禍下での生活水準や影響でスコアリングしたもの。)では、日本はニュージーランドに続く世界2位にランキングされている。12月に入って日本の感染も増えては居るが世界的な増加傾向の中で、相対的なポジションはあまり大きく変わっていないと思われる。

高度成長にとらわれずに、社会の安定と生活水準の維持を成し遂げる、日本ならではの新たな価値観を世界に提示できれば新たな指針となるだろう。

しかしながら、日本の多くの人たちには日本の特性と優位性はあまり自覚されていない。 世界的な視点で見た自分たちの立ち位置と特性にあまりに無頓着であり、その機会を活かすためにはより自覚的になる必要がある。 

海外に先行指標を求めるのではなく、新たな価値軸や経営目標を設定し世界に提起したい。対前年比の呪縛から逃れ、消費される満足の総量や企業のレジリエンス指標といった、新たな経営指標に基づいた経営が期待される。

シナリオ2:米プラットフォーマー依存がさらに高まる

パンデミックであらわになった日本のデジタル後進国の現状は菅政権に変わり一挙に改革機運が打ち出されている。ただ、最大の売り物のデジタル庁もその発足は2021年の9月であり、その速度は従来通りだ。また、日本のITセクターもクラウド対応やサービスのリリースの速度は遅く、電子政府の情報基盤が海外のITセクターに依存し続ける可能性は高い。省庁の縦割りの情報の規格を解消し、横連携とシステム基盤を実装するには海外と比較してとても時間がかかりそうだ。また、その基盤が海外のセクターに依存しないためには、これまでの秩序や合意形成とまったく異なるアプローチが必要だが、まだその兆候は見えていない。

従来の公示・入札のルールを踏まえている限りは、受注要件を満たす旧来のシステムベンダ等が受注窓口となることは変わらないだろうし、情報が横連携した形でクラウドに載ることも難しいだろう。システムベンダは短期で自社開発できなければ、海外のクラウドサービスの窓口となることで急場を凌ぐことになり、結局、米プラットフォーマーへの依存は急激に進むことになる。

プロフィール

藤元健太郎

野村総合研究所を経てコンサルティング会社D4DR代表。広くITによるイノベーション,新規事業開発,マーケティング戦略,未来社会の調査研究などの分野でコンサルティングを展開。J-Startupに選ばれたPLANTIOを始め様々なスタートアップベンチャーの経営にも参画。関東学院大学非常勤講師。日経MJでコラム「奔流eビジネス」を連載中。近著は「ニューノーマル時代のビジネス革命」(日経BP)

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