コラム

大雪より迷惑、天気ニュースの大氾濫

2010年02月10日(水)17時17分

 

たくましい人々 記録的な大雪で政府機関が8日から休業しているワシントン(写真は6日)
Yuri Gripas-Reuters


 今週のワシントンの一番の話題は、医療保険改革でも対テロ政策でもなく、サラ・ペイリンでさえない。雪だ。雪が降っている、ということだ。

 そうだ、雪黙示録やユキマゲドン、雪破壊兵器が迫っている。そうなると、政府機関が閉鎖され、雪合戦をしていたツイーターたちがワシントンD.C.首都警察と武装対立する羽目に陥るぐらいではすまない。信じられないことに、新聞の記事が天気だらけになるのだ!

 私は以前、うだるように暑いジャージーシティーの歩道で通行人に「この暑さをどう思いますか」と聞いて歩く仕事をさせられたことがある。その恨みもあるのかもしれないが、とにかく天気のニュースは昔から嫌いだ。天気のニュースはたいてい、パンダのニュースより役に立たないし、商品市況より退屈だから。

 もちろん雪の怖さをバカにするつもりはない。ワシントンのように降雪に慣れていない街であれば尚更だ。だがそうだとしても、伝えるべきことがそれほどあるとは思えない。吹雪の予報にしても、読者が知るべきことは数えるほどだ。いつ降るのか、どれだけ積もるのか、どの学校が休校になるのか?

■ワシントン・ポストも水増し記事

 それなのに、ワシントン・ポスト紙は長文の特集記事を掲載した。当局からの有益な情報(「われわれは火曜の夜と水曜の朝も天候を注視する必要がある」)が盛りだくさんで、そう、水増しもいいところだ。

 さらに電子版の丸1ページを割いて詳細なデータやブログ中継、ユーザーからのコンテンツなどを紹介している。ついさっきもこんな見出しが出た。「雪が降り始めた」。私が窓の外を見て得た情報をご丁寧にも確認してくれたわけだ。

 天気のニュースに膨大かつ無駄な時間を費やすのは、テレビやラジオも含め大半のメディアに共通する傾向だ。インターネットを見れば、誰でも3秒で得られる情報なのに。

 雪が降れば何が起こるかは誰でも知っている。寒くて濡れて不便だが、最後はみんな何とかする。それとも私のほうが異常で、他の人は天気情報に飽くなき欲求を抱いているのだろうか。

 普通私たちが天気について話すのは、礼儀正しく振る舞うためか、他に面白い話題がないときだ。天気ニュースを垂れ流すメディアにはどんな言い訳があるのだろう?

──ジョシュア・キーティング
[米国東部時間2010年02月09日(火)16時45分更新]

Reprinted with permission from FP Passport, 10/2/2010. © 2010 by Washingtonpost.Newsweek Interactive, LLC.

プロフィール

ForeignPolicy.com

国際政治学者サミュエル・ハンチントンらによって1970年に創刊された『フォーリン・ポリシー』は、国際政治、経済、思想を扱うアメリカの外交専門誌。発行元は、ワシントン・ポスト・ニューズウィーク・インタラクティブ傘下のスレート・グループ。『PASSPORT:外交エディター24時』は、ワシントンの編集部が手がける同誌オンライン版のオリジナル・ブログ。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

米国株式市場=総じて下落、イランとの協議巡る楽観論

ビジネス

FRB政策「良好な位置」、異例の局面に対応可能=N

ワールド

米、対キューバ政策に変更なし 制裁対象のロ船籍の燃

ビジネス

NY外為市場=円が対ドルで上昇、介入警戒感が下支え
MAGAZINE
特集:日本企業に迫る サステナビリティ新基準
特集:日本企業に迫る サステナビリティ新基準
2026年4月 7日号(3/31発売)

国際基準の情報開示や多様な認証制度──本当の「持続可能性」が問われる時代へ

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「根底にあるのは怒り」...日本の「3Dプリンター住宅」企業が救う、ウクライナの未来
  • 2
    「水に流す」日本と「記憶する」韓国...気候と地理が育んだ「国民意識の違い」とは?
  • 3
    ロシア経済を支える重要な港、ウクライナのものと思われるドローンの攻撃を受け大炎上
  • 4
    アリサ・リュウの自由、アイリーン・グーの重圧
  • 5
    ビートルズ解散後の波乱...「70年代のポール・マッカ…
  • 6
    なぜイスラエルは対イラン戦争を支持するのか...「イ…
  • 7
    記憶を定着させるのに年齢は関係ない...記憶の定着度…
  • 8
    ヘンリー・メーガン夫妻の豪州訪問に3万6000人超の反…
  • 9
    ヒドラのように生き延びる...イランを支配する「革命…
  • 10
    初の女性カンタベリー大主教が就任...ウィリアム皇太…
  • 1
    ヘンリー・メーガン夫妻の豪州訪問に3万6000人超の反対署名...「歓迎してない」の声広がる
  • 2
    「水に流す」日本と「記憶する」韓国...気候と地理が育んだ「国民意識の違い」とは?
  • 3
    「根底にあるのは怒り」...日本の「3Dプリンター住宅」企業が救う、ウクライナの未来
  • 4
    三笠宮彬子さまも出席...「銀河の夢か、現実逃避か」…
  • 5
    中国の公衆衛生レベルはアメリカ並み...「ほぼ国民皆…
  • 6
    記憶を定着させるのに年齢は関係ない...記憶の定着度…
  • 7
    中国最大の海運会社COSCOがペルシャ湾輸送を再開──緊…
  • 8
    映画『8番出口』はアメリカでどう受け止められた?..…
  • 9
    作者が「投げ出した」? 『チェンソーマン』の最終…
  • 10
    ロシア経済を支える重要な港、ウクライナのものと思…
  • 1
    温暖化で増えた? サンマやサケ減少の裏で激増する「安価で栄養価の高い魚」の正体
  • 2
    ロシア政府、痛恨のミス...プーチンの「健康不安説」を裏付けるような動画を公式に投稿してしまう
  • 3
    メーガン妃、娘リリベット王女との新ショット公開...撮影はパパ
  • 4
    「ノーと言えるスペイン」の背景に国防意識...次期ス…
  • 5
    キャサリン皇太子妃、ナイジェリア大統領夫妻出迎え…
  • 6
    数時間以内に死に至ることも...若者の間で集団感染が…
  • 7
    「日本より、自分の国(フランス)を心配すれば?」…
  • 8
    日本の若者「韓国就職」憧れと現実のギャップ ── ビ…
  • 9
    米軍も防ぎきれないイランのドローン攻撃──イラン製…
  • 10
    縫いぐるみが相棒、孤独なサル「パンチくん」がバズ…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story