コラム

ポケモンGOの聖地を目指せ! 正式サービス前でもファン誘致に動く韓国地方都市

2016年08月22日(月)22時01分



ピカチュウは韓国でも大人気 昨年からプロ野球チームSKワイバーンズのPRキャラクターとなり試合の応援をしている

 それにポケモンは韓国でもアニメが放映されていたので、今の20〜30代はポケモンの世界を理解していて、すぐゲームにはまった。15年ほどまでに、韓国のシャニーという菓子パン会社が、ポケモンシールおまけ入り菓子パンを発売、一大ブームを巻き起こしたことがある。子供たちがシールだけ残してパンを捨てることも頻繁にあって、食べ物におまけをつけていいのかと問題になったほど人気だった。韓国では、「子供のころ夢中になって集めたポケモンシールを思い出す。街を歩くとあのキャラクター達がスマートフォンの画面に出てくるから面白い」と話す人も多かった。

 ポケモンGOのタイミングもよかった。韓国ではスマートフォンが国民の9割に普及、人気のアプリもひと通り経験して、何か新しいアプリはないかな──、という時にポケモンGOが登場した。2011年韓国のキャリアKTがサービスしたポケモンGOに非常に似たARゲーム「Ollehキャッチキャッチ」は、タイミングが早すぎたせいか、なかなかユーザーを確保できず、いつの間にかサービスが終わっていた。

 韓国でポケモンGOが大ブームになった決定的な理由は、地域限定で希少価値があったからともいえる。韓国でポケモンGOに火が付いたのは、7月初旬、北朝鮮の下あたり、韓国の東海岸にある束草(ソクチョ)市ではなぜかポケモンGOをプレイできるという噂が広がったことから始まる。

 真相を確かめるべく、ゲームマガジンの記者らが束草市に行ってみたところ、本当にプレイできることがわかった。韓国では正式サービスをしていないポケモンGOを束草市で記者らがプレイする記事が公開されてから、韓国ではポケモンGOフィーバーが始まった。小中高校と大学の夏休みだったこともあり、ソウルから束草行の高速バスは全席完売が続き、束草市にポケモンGOをプレイしに行くツアーバスが登場した。SNSでは続々束草市でポケモンGOをプレイしている様子が書き込まれた。誰よりも早く新しいことをしてSNSで自慢したい、という国民性も人々をポケモンGOに走らせた。

プロフィール

趙 章恩

韓国ソウル生まれ。韓国梨花女子大学卒業。東京大学大学院学際情報学修士、東京大学大学院学際情報学府博士課程。KDDI総研特別研究員。NPOアジアITビジネス研究会顧問。韓日政府機関の委託調査(デジタルコンテンツ動向・電子政府動向・IT政策動向)、韓国IT視察コーディネートを行っている「J&J NETWORK」の共同代表。IT情報専門家として、数々の講演やセミナー、フォーラムに講師として参加。日刊紙や雑誌の寄稿も多く、「日経ビジネス」「日経パソコン(日経BP)」「日経デジタルヘルス」「週刊エコノミスト」「リセマム」「日本デジタルコンテンツ白書」等に連載中。韓国・アジアのIT事情を、日本と比較しながら分かりやすく提供している。

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