コラム

小惑星衝突の脅威は「核兵器」で軽減できる? 「第2の月」出現中のいま知りたい「地球防衛研究」の最前線

2024年10月09日(水)17時50分

また、米コロラド大などによる研究チームは23年、独自の計算方法を用いて小惑星が地球に近づく時期の予想をモデル化し、予測期間を1000年先まで延長することに成功しました。この研究を主導した、コロラド大のオスカー・フエンテス・ムニョス博士は「私たちの知る限り、今後1000年間は地球に小惑星は衝突しないでしょう」と語っています。

日本では最近、25年の7月5日に小惑星が衝突するかもしれないという噂が広がっています。もちろん、災害の予想に絶対はありませんが、少なくともNASAをはじめとする小惑星の監視機関は、噂を肯定するような観測・分析結果を発表していません。

地球近傍小惑星は、地球に近く、重力が小さいことから、将来的には月や火星よりも気軽に資源の採掘に訪れたり、惑星探査の中継点として利用したりできるかもしれないと夢を膨らませる科学者も少なくありません。必要以上におそれず、小惑星がもっと身近になる時代を待ち望みたいですね。

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プロフィール

茜 灯里

作家・科学ジャーナリスト。青山学院大学客員准教授。博士(理学)・獣医師。東京大学理学部地球惑星物理学科、同農学部獣医学専修卒業、東京大学大学院理学系研究科地球惑星科学専攻博士課程修了。朝日新聞記者、大学教員などを経て第24回日本ミステリー文学大賞新人賞を受賞。小説に『馬疫』(2021 年、光文社)、ノンフィクションに『地球にじいろ図鑑』(2023年、化学同人)、ニューズウィーク日本版ウェブの本連載をまとめた『ビジネス教養としての最新科学トピックス』(2023年、集英社インターナショナル)がある。分担執筆に『ニュートリノ』(2003 年、東京大学出版会)、『科学ジャーナリストの手法』(2007 年、化学同人)、『AIとSF2』(2024年、早川書房)など。

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