コラム

サイボーグ・ゴキブリが災害救助の救世主になる?

2022年09月13日(火)11時25分

日本では大阪大の森島圭祐教授が、蛾の幼虫の筋肉を動力にしたマイクロロボットや、昆虫の体液を利用した発電装置を開発しています。マイクロロボットは、糖をエネルギー源にしたロボットが血管に入ってエネルギーを取り込みながら人体を探索できる可能性が示唆されます。発電装置は、昆虫が生きている限り動き続ける点が注目を集めています。

東大先端科学技術研究センターの神崎亮平教授は、カイコガのオスがメスのフェロモンの匂いの方向に進む性質を使った匂い探索ロボットを開発しています。ロボットだけでは難しい匂いセンサや匂いの探索を、カイコガの脳や触覚と機械を融合させることによって達成しました。

今回の理研の研究は、地面での捜索や情報収集に特化したサイボーグ・ゴキブリの可能性が示されたものでした。今は嫌われ者のゴキブリですが、将来は災害救助に役立つ益虫として認識される世界になるかもしれませんね。

プロフィール

茜 灯里

作家・科学ジャーナリスト。青山学院大学客員准教授。博士(理学)・獣医師。東京大学理学部地球惑星物理学科、同農学部獣医学専修卒業、東京大学大学院理学系研究科地球惑星科学専攻博士課程修了。朝日新聞記者、大学教員などを経て第24回日本ミステリー文学大賞新人賞を受賞。小説に『馬疫』(2021 年、光文社)、ノンフィクションに『地球にじいろ図鑑』(2023年、化学同人)、ニューズウィーク日本版ウェブの本連載をまとめた『ビジネス教養としての最新科学トピックス』(2023年、集英社インターナショナル)がある。分担執筆に『ニュートリノ』(2003 年、東京大学出版会)、『科学ジャーナリストの手法』(2007 年、化学同人)、『AIとSF2』(2024年、早川書房)など。

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