最新記事

中国

「中露朝韓」急接近!──ラブロフ外相訪中「モスクワ便り」

2021年3月26日(金)14時03分
遠藤誉(中国問題グローバル研究所所長)
訪中したロシアのラブロフ外相(左)と王毅外相(3月22日 桂林)

訪中したロシアのラブロフ外相(左)と王毅外相(3月22日 桂林) Russian Foreign Ministry/REUTERS

ロシアのラブロフ外相が中国・韓国を訪問し、中朝首脳が親書を交換した。そして北のミサイル発射。何が起きようとしているのか。プーチン側近とも接触のある「モスクワの友人」からの便りを交えながら考察する。

ラブロフ外相訪中、桂林漓江の川面から発信

アラスカから中国に戻ってきた王毅外相は、3月22日、中国の南方にある広西チワン族自治区桂林で、モスクワからやってきたロシアのラブロフ外相を迎えた。

中国外交部のウェブサイトから始まって、中国共産党および中国政府系の多くの報道機関で大々的に報道されたが、今回興味を惹かれたのは、ラブロフがTikTokも駆使しながら桂林にある漓江の船上から自らの姿を動画発信していることである。それも数多くのサイトがあるが、こちらの動画が、情報量が多いかもしれない。

極寒のアラスカとの対比を成すかのように、温暖な南方の風水に恵まれた桂林を選んだのにも、アメリカへの当てつけのようにさえ見える。

3月22日付のコラム<米中アラスカ会談――露わになった習近平の対米戦略>に書いた米中外交トップ会談では、王毅が記者に「何を食べましたか?」と聞かれて「カップ麺だ」と答える一場面があったのだが、宿泊したホテルでアメリカ側は食事を提供しなかったのか、楊潔チも王毅もカップ麺を食べてから会談に臨んだことが中国のネットでは話題になっており、それとの違いを強調するかのように、川面での優雅な「おもてなし」の写真がネットで数多く飛び交った。

以下に、その写真の一つを転載する。

endo20210326123801.jpg
2021-03-23 ラブロフと王毅_桂林の川面で

この光景に目が奪われたが、話し合われた内容はもちろん「中露関係の緊密化」であり、「アメリカの理不尽な内政干渉と自国の価値観で他国を批判することに抗議する」という共闘目標を掲げることであった。中露ともに「国際問題を解決するのは国連であり、判断基準は国連憲章にある」と強調し、アメリカが小さな数ヵ国のグループを国際社会における価値基準とすることを強く非難している。

中露がここまで「アツアツ」になったのは、かつてなかっただろうという印象を持った。そこで、プーチン大統領側近やロシア政府などとも接触のある「モスクワの友人」を取材した。

「モスクワの友人」からの便り――かつてない中露蜜月

以下、「モスクワの友人」から頂いた多くの情報の内、一部を取り出して概要を示す。
                                                                                    




ラブロフ外相はプロ中のプロの外交官で、国連大使も歴任した米国通でもあります。もちろん今回の訪中は大統領の強い意を受けてことです。私自身、長いことソ連時代からの中ソ関係、そしてソ連崩壊後の中露関係を見てきましたが、ソ連時代を含め、ここまで蜜月になってきたことはなかったように思えます。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

アングル:メダリストも導入、広がる糖尿病用血糖モニ

ビジネス

アングル:中国で安売り店が躍進、近づく「日本型デフ

ビジネス

NY外為市場=ユーロ/ドル、週間で2カ月ぶり大幅安

ワールド

仏大統領「深刻な局面」と警告、総選挙で極右勝利なら
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:姿なき侵略者 中国
特集:姿なき侵略者 中国
2024年6月18日号(6/11発売)

アメリカの「裏庭」カリブ海のリゾート地やニューヨークで影響力工作を拡大する中国の深謀遠慮

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1

    この「自爆ドローンでロシア軍撃破の瞬間」映像が「珍しい」とされる理由

  • 2

    森に潜んだロシア部隊を発見、HIMARS精密攻撃で大爆発...死者60人以上の攻撃「映像」ウクライナ公開

  • 3

    屋外に集合したロシア兵たちを「狙い撃ち」...HIMARS攻撃「直撃の瞬間」映像をウクライナ側が公開

  • 4

    メーガン妃「ご愛用ブランド」がイギリス王室で愛さ…

  • 5

    米モデル、娘との水着ツーショット写真が「性的すぎ…

  • 6

    米フロリダ州で「サメの襲撃が相次ぎ」15歳少女ら3名…

  • 7

    接近戦で「蜂の巣状態」に...ブラッドレー歩兵戦闘車…

  • 8

    ロシア兵がウクライナ「ATACMS」ミサイルの直撃を受…

  • 9

    FRBの利下げ開始は後ずれしない~円安局面は終焉へ~

  • 10

    「ノーベル文学賞らしい要素」ゼロ...「短編小説の女…

  • 1

    ニシキヘビの体内に行方不明の女性...「腹を切開するシーン」が公開される インドネシア

  • 2

    接近戦で「蜂の巣状態」に...ブラッドレー歩兵戦闘車の猛攻で、ロシア兵が装甲車から「転げ落ちる」瞬間

  • 3

    早期定年を迎える自衛官「まだまだやれると思っていた...」55歳退官で年収750万円が200万円に激減の現実

  • 4

    認知症の予防や脳の老化防止に効果的な食材は何か...…

  • 5

    米フロリダ州で「サメの襲撃が相次ぎ」15歳少女ら3名…

  • 6

    毎日1分間「体幹をしぼるだけ」で、脂肪を燃やして「…

  • 7

    堅い「甲羅」がご自慢のロシア亀戦車...兵士の「うっ…

  • 8

    カカオに新たな可能性、血糖値の上昇を抑える「チョ…

  • 9

    「クマvsワニ」を川で激撮...衝撃の対決シーンも一瞬…

  • 10

    ヨルダン・ラジワ皇太子妃が妊娠発表後、初めて公の場…

  • 1

    ラスベガスで目撃された「宇宙人」の正体とは? 驚愕の映像が話題に

  • 2

    半裸でハマスに連れ去られた女性は骸骨で発見された──イスラエル人人質

  • 3

    ニシキヘビの体内に行方不明の女性...「腹を切開するシーン」が公開される インドネシア

  • 4

    ウクライナ水上ドローンが、ヘリからの機銃掃射を「…

  • 5

    「世界最年少の王妃」ブータンのジェツン・ペマ王妃が…

  • 6

    EVが売れると自転車が爆発する...EV大国の中国で次々…

  • 7

    接近戦で「蜂の巣状態」に...ブラッドレー歩兵戦闘車…

  • 8

    ヨルダン・ラジワ皇太子妃の「マタニティ姿」が美しす…

  • 9

    早期定年を迎える自衛官「まだまだやれると思ってい…

  • 10

    ロシアの「亀戦車」、次々と地雷を踏んで「連続爆発…

日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中