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北朝鮮、観光と兵器で生き残り図る? 金正恩が元山に見る夢

2017年10月23日(月)16時32分

Christian Peterson-Clausen/Handout via REUTERS

北朝鮮の海沿いにある都市、元山(ウォンサン)の夏は、ビーチでバーベキューをしたり、釣りをしたり、ロイヤルゼリー味のアイスクリームを食べたりする家族連れでにぎわう。

金正恩(キム・ジョンウン)朝鮮労働党委員長にとって、このリゾート地は、避暑地であり、将来の人気観光スポットであるだけでなく、ミサイル発射実験を行う格好の場所でもある。

正恩氏は、人口36万人の元山市を再開発し、巨額のカネを生む人気観光スポットにしたい、と考えているが、その一方で、加速する核開発の一環として、同地域から40発近くのミサイルも発射している。

「外から見れば、経済開発を行おうとする場所からミサイルを発射するなんてクレイジーに聞こえるかもしれない。だが、それこそ金正恩氏の統治のやり方だ」と、韓国慶南大学の北朝鮮経済専門家Lim Eul-chul氏は指摘する。

観光と核兵器という組み合わせは、まさに正恩氏の生き残り戦略を象徴するものだ、と研究者や同市の開発プロジェクトに詳しい関係者は言う。

元山開発プロジェクトは2014年に発表され、急速に拡大した。国連制裁下にある北朝鮮にとって、制裁対象外の観光は、限られた外貨獲得手段の1つである。

元山地区開発総会社が2015年と2016年に朝鮮語、中国語、ロシア語、英語で制作した約30種類のパンフレット、計160ページについて、ロイターが今回、詳細に検証した。

外国人投資家に向けられたこうしたパンフレットでは、400平方キロメートル以上に及ぶ元山特別観光地帯には約15億ドル(約1690億円)規模の投資妙味があるとうたっている。

正恩氏の手で、すでにスキーリゾートと空港が建設されている。

パンフレットの1つによれば、同地帯には、約140カ所の歴史的遺物、10カ所の砂浜、680カ所の観光名所、4つの鉱泉、数カ所の海水浴場と自然湖沼、そして「神経痛と大腸炎に効く330万トン以上もの泥がある療養地」などがあるという。

正恩氏が投資を呼び込もうとしているプロジェクトには、総工費730万ドルのデパートや、同1億9700万ドルの都心開発、そして同1億2300万ドルのゴルフコース建設が含まれている。これらには借地料6250万ドルが含まれる。

正恩氏は今年、元山開発のアイデアを得ようと、当局者16人をスペインに派遣した。一行は、スペイン最大のリゾート施設の1つ「マリーナドール」や、ベニドームにあるテーマパーク「テラミティカ(神話の国)」を視察した。

「彼らはそのような場所を直接見て、撮影もしていた」と、マドリードにある北朝鮮大使館の報道官は語った。

両リゾート施設は、北朝鮮からの訪問団を確認。エジプトやギリシャ、ローマの古代文明などのテーマに感心していたと、テラミティカの広報担当者は話した。

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