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かえって体調・メンタルが悪くなる人も...「休職の前に」知っておきたい「注意点」と役立つ制度とは?

2025年8月5日(火)17時00分
ニューズウィーク日本版ウェブ編集部

お金に関しては、大企業のほうが制度が恵まれているのは事実です。

・有給で休める日数が多い(一般的な有給休暇以外にさまざまな休暇制度を設けている企業もある)
・病気欠勤になった場合でも、3カ月〜半年の間は、給与が8〜10割出る企業もある
・場合によっては、年単位で給与が出て休めるケースもある
・会社からお金が支給されなくても、会社が入っている保険からお金が出る場合もある

もし会社に休職時の給与補償制度がなくても、フルタイムで働いている人なら、どの会社でも受け取れる制度が「傷病手当金」です。これは、健康保険組合から支給される給付金であり、休職中の生活を支える重要な制度です。傷病手当金の基本的な仕組みは以下の通りです。

・休職開始から4日目以降、最大1年6カ月まで給付される
・標準報酬月額(給与額をもとに算出される基準金額。おおむね給与額に近い金額となる)から計算した日額の3分の2が支給される(週末分も含まれる)

3分の2という数字を見て、「そんな金額では生活できないのでは?」と不安に思う人もいるでしょう。

確かに給与と比べると少なく感じるかもしれませんが、傷病手当金は給与ではないため、所得税や住民税がかかりません。そのため、計算してみると手取りの金額は普段の給与と大きく変わらないことも多いです。

さらに、休職中は交通費・外食費・交際費などの出費が大幅に減るため、慣れればなんとか生活できる人も多い印象です。

一方で、傷病手当金には不便な点もあります。それは、実際に口座にお金が振り込まれるのは支給の申請をした1〜2カ月後になることです。そのため、休職が決まった直後にすぐお金が入るわけではなく、振込までの期間は貯金でやりくりする必要があります。

休職する場合も含めて、何かあった時に備えて生活費の3〜6カ月分を現金で貯金しておくことは、誰にとっても必要な対策かもしれません。

※第1回:こんな症状が出たら「メンタル赤信号」...心療内科医が伝授、「働くための」心とカラダの守り方とは?

※第3回:職場のメンタル不調の9割を占める「適応障害」とは何か?...「うつ病」との関係から予防策まで


吉田英司(よしだえいじ)
日本医師会認定産業医・心療内科医、株式会社ベスリ代表取締役
研修医修了後に、外資系経営コンサルティングファームのベイン・アンド・カンパニーに参画。主に、中期計画の策定、新規事業戦略、事業再建などのテーマでコンサルティングを約3年経験。トップマネジメントに向けた戦略の立案と共に、現場社員への実行支援に精力的に取組む。
その後、シャープ、ルネサス エレクトロニクス、上場外資IT企業、外資化学メーカー、東京オリンピックパラリンピック組織委員会などで産業医を歴任し、社員個人の健康支援だけでなく、全社的な健康経営や健康施策の立案と推進を行う。
産業医や心療内科医として働くかたわら、日本のビジネスパーソンの可能性を最大化するために株式会社ベスリを設立し、企業の産業保健活動支援やリワークでの復職支援を行なっている。


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