最新記事

トレーニング

筋トレは量か強度か 「囚人筋トレ」のポール・ウェイドが全てを語った

Dragon Door Interviews Paul “Coach” Wade

2018年8月6日(月)20時30分
エイドリアン・ハーベイ、RKCII

ドラゴンドア:DVDと言えば、私はこれまでに2作品を見たが、とてもバラエティーに富んでいる。タックジャンプ、セントリー・プルアップなどの、プライオメトリクス(瞬発力を高めるトレーニング)もある。これらをトレーニングプログラムに加える大まかな方法を教えてほしい。

ウェイド:プリズナートレーニングを読んだ人は、私が「ビッグ6」の信者であることを知っているだろう。最も基本的な6つの動作のことだ。これらの基本的な自重トレーニングにはそれぞれ、対応する瞬発的な動きがある。スクワットは筋力強化に最適な動きだが、対応するプライオメトリクスはタックジャンプだ。ブリッジの瞬発バージョンは、後方倒立回転跳び(バック転)だ。

自重トレーニングと同様に、段階的に強度を上げ、瞬発力を強化していかなければならない。段階的な自重トレーニング、スピード、パワー、柔軟性トレーニングは、プリズナートレーニング3で取り上げることにしている。このことを話したのは君が初めてだ。

大まかに説明すると、私は瞬発力トレーニングも、筋力トレーニングと同様、あまり量をこなさないようにしている。もしパワーを付けたければ、瞬発力トレーニングを最初に行うか、瞬発力トレーニングだけ行うべきだ。ただし、これは万能な方法ではない。

私が知っている格闘家たちは、まず筋力トレーニングをした後、同じ筋肉群を使う瞬発力トレーニングをしたほうがいいと考えている。例えば、スクワットで追い込んでから、ボックスジャンプをするといった具合だ。彼らによれば、たとえ激しい戦いで疲れ切っても、まだ爆発的な力を出すことができるようになるという。

プリズナートレーニング3では、さまざまなトレーニングとプログラム戦略を紹介するつもりだ。パワーへのアプローチは目標によって異なるためだ。例えばフットボール選手やパルクールのアスリートなら、力や筋肉の強化を目標とする人よりも、瞬発力トレーニングに強い関心を持つだろう。

トレーニングは強度か量かの議論は1950年代から

ドラゴンドア:フィットネス業界では、強度と量のどちらを重視すべきかという議論が盛んに行われている。多くのアスリートやコーチはいまだに、繰り返しトレーニングを行い、ほぼ全てのプログラムで限界まで追い込むという考え方に固執している。プリズナートレーニング1と2のプログラムで提案されている量を「ただ」こなすだけでは不満な人のために、何かアドバイスは?

ウェイド:あなたは若いから知らないかもしれないが、「老人」の私に言わせれば、フィットネス業界はいつだって強度と量の議論に夢中だ。

1950年代には、重量挙げの選手たちがソ連のトレーニング量について話していた。とても多いという噂だった。60年代には、アーノルド・シュワルツェネッガーのようなトレーニング量の多いボディビルダーが登場し、ピアリー・レイダーのような昔ながらの短いトレーニングと真っ向から対立した。70年代には、アーサー・ジョーンズがトレーニングマシン「ノーチラス」による高強度インターバルトレーニング(HIIT)を業界に持ち込み、論争を引き起こした。

80年代には、3日周期または1週間を2つに分けた「パンピングスタイル」が大流行し、その後、マイク・メンツァーが1セットで追い込むヘビーデューティー・アプローチを提唱した。90年代に入ると、ジムに通い、量をこなして限界まで追い込む人が増え、さらに、ボディビル大会「ミスター・オリンピア」を制したドリアン・イエーツがヘビーデューティーへの回帰を促した。

【参考記事】ジム不要の「囚人筋トレ」なら、ケガなく身体を鍛えられる!

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

北朝鮮の衛星打ち上げ、国連決議の「あからさまな違反

ワールド

ラファ避難民密集地区攻撃、死者45人 イスラエルは

ワールド

ポーランド、ロシア外交官の移動を制限へ ロシアは報

ワールド

北朝鮮、衛星打ち上げに失敗 通告期間内の挑発行為に
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:イラン大統領墜落死の衝撃
特集:イラン大統領墜落死の衝撃
2024年6月 4日号(5/28発売)

強硬派・ライシ大統領の突然の死はイスラム神権政治と中東の戦争をこう変える

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1

    自爆ドローンが、ロシア兵に「突撃」する瞬間映像をウクライナが公開...シャベルで応戦するも避けきれず

  • 2

    少子化が深刻化しているのは、もしかしてこれも理由?

  • 3

    「なぜ彼と結婚したか分かるでしょ?」...メーガン妃がのろけた「結婚の決め手」とは

  • 4

    ロシアの「亀戦車」、次々と地雷を踏んで「連続爆発…

  • 5

    カミラ王妃が「メーガン妃の結婚」について語ったこ…

  • 6

    エリザベス女王が「誰にも言えなかった」...メーガン…

  • 7

    台湾を威嚇する中国になぜかべったり、国民党は共産…

  • 8

    トランプ&米共和党、「捕まえて殺す」流儀への謎の執…

  • 9

    胸も脚も、こんなに出して大丈夫? サウジアラビアの…

  • 10

    屋外に集合したロシア兵たちを「狙い撃ち」...HIMARS…

  • 1

    半裸でハマスに連れ去られた女性は骸骨で発見された──イスラエル人人質

  • 2

    ロシアの「亀戦車」、次々と地雷を踏んで「連続爆発」で吹き飛ばされる...ウクライナが動画を公開

  • 3

    「なぜ彼と結婚したか分かるでしょ?」...メーガン妃がのろけた「結婚の決め手」とは

  • 4

    ウクライナ悲願のF16がロシアの最新鋭機Su57と対決す…

  • 5

    黒海沿岸、ロシアの大規模製油所から「火柱と黒煙」.…

  • 6

    自爆ドローンが、ロシア兵に「突撃」する瞬間映像を…

  • 7

    戦うウクライナという盾がなくなれば第三次大戦は目…

  • 8

    能登群発地震、発生トリガーは大雪? 米MITが解析結…

  • 9

    「天国にいちばん近い島」の暗黒史──なぜニューカレ…

  • 10

    娘が「バイクで連れ去られる」動画を見て、父親は気…

  • 1

    半裸でハマスに連れ去られた女性は骸骨で発見された──イスラエル人人質

  • 2

    EVが売れると自転車が爆発する...EV大国の中国で次々に明らかになる落とし穴

  • 3

    ロシア「BUK-M1」が1発も撃てずに吹き飛ぶ瞬間...ミサイル発射寸前の「砲撃成功」動画をウクライナが公開

  • 4

    新宿タワマン刺殺、和久井学容疑者に「同情」などで…

  • 5

    やっと撃墜できたドローンが、仲間の兵士に直撃する…

  • 6

    立ち上る火柱、転がる犠牲者、ロシアの軍用車両10両…

  • 7

    一瞬の閃光と爆音...ウクライナ戦闘機、ロシア軍ドロ…

  • 8

    ロシア兵がウクライナ「ATACMS」ミサイルの直撃を受…

  • 9

    ヨルダン・ラジワ皇太子妃のマタニティ姿「デニム生地…

  • 10

    大阪万博でも「同じ過ち」が繰り返された...「太平洋…

日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中