最新記事

BOOKS

ビジネスで新しい何かを生み出す「妄想」の力【flier編集部イチオシ今月の3冊】

2021年6月9日(水)12時02分
flier編集部
アイデア(イメージ)

metamorworks-iStock

<誰かの「妄想」が世の中を変えるような製品やサービスを生み出す。その妄想を「現実」にするために読むべき本>

数多くの本を紹介し、またその内容を要約するサービスを展開している「flier」の編集部がオススメする「今月の本」とは(この記事は、本の要約サービス「flier(フライヤー)」からの転載です)。

◇ ◇ ◇

6月といえば梅雨のシーズン。

ただでさえ外に出ることがためらわれるご時世のなか、ますますお家に引きこもり......という日々に嫌気が差すこともあるでしょう。

でも案外、自分と向き合うにはちょうどいい季節なのかもしれません。

思うように動けない時間を生かして、自分の「妄想」と向き合ってみませんか。

来たるべき時に、いま育んだ「妄想」が社会を、そして自身を変えることを願って。

妄想する頭 思考する手

210608fl_ed01.jpg

著者:暦本純一
出版社:祥伝社
flierで要約を読む

「新しいものを生み出す」ことに苦労している人は多いです。実際、「新しいもの」というと大仰な気がしてきますし、「自分にそんなことは......」と思ってしまうのも無理はありません。ですが義務感にとらわれていると、かえって頭がかたくなってしまうもの。

そういうときは、いったん目的意識を完全に忘れ、自分の「妄想」を育むところから始めてみるといいかもしれません。「妄想」するのも一種の重要な能力です。まずは目の前のビジネスや課題にとらわれず、自分自身の持つ「妄想」と向き合ってみる――そうすることで、抑えられていた発想や展望が、次々と出てくることに気づくでしょう。

もちろん、ただ「妄想」しているだけでは、何も現実は変わりません。「妄想」は現実になるとき、はじめてその真価を発揮します。

そこでお読みいただきたいのがこちら。世界初のモバイルARシステムやマルチタッチシステムの発明者である暦本純一が、妄想を現実にするためのプロセスを見事に描き出しています。その道は舗装されたものではなくデコボコしており、ときには迂回を迫られるかもしれません。しかしそれでも前に進もうと思える推進力こそ、「妄想」のもつ真価なのです。

ひとりの妄想で未来は変わる

210608fl_ed02.jpg

著者:佐宗邦威
出版社:日経BP
flierで要約を読む

一方で、「いやいや、妄想が大事とは言っても、結局のところ業務には生かせないと......」という方におすすめしたいのがこちら。「こんなことができたらいいな」「こんな世の中になったらいいな」という「妄想」を、いかに企業の中で実現させていくかが書かれています。

本書がすばらしいのは、著者が行なった大企業での変革について、実際の例をもとに解説しているところ。大企業で新規事業を立ち上げるのは、起業や独立とはまた違った難しさがあります。日本的な組織のなかで、ボトムアップでイノベーションを起こしていくためには何をすればいいのでしょうか?

一人の力だけで妄想を現実にすることは、ほとんどの場合困難を伴うものです。多かれ少なかれ、どこかのタイミングで、他の人を巻き込んでいかなければなりません。集団で「妄想」を実現させるためのリアルな知見が満載のこの一冊。いま企業に属しているかどうかを問わず、誰かを巻き込む必要性を感じているのなら、本書から得られるものは大きいはずです。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

米4月中古住宅販売、前月比1.9%減の414万戸 

ビジネス

英アングロ・アメリカン、BHPの3度目の買収案拒否

ビジネス

G7、中国の過剰生産能力問題で団結する必要=仏財務

ビジネス

米消費者保護局、後払い決済業者にクレジットカード規
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:スマホ・アプリ健康術
特集:スマホ・アプリ健康術
2024年5月28日号(5/21発売)

健康長寿のカギはスマホとスマートウォッチにあり。アプリで食事・運動・体調を管理する方法

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1

    能登群発地震、発生トリガーは大雪? 米MITが解析結果を発表

  • 2

    「目を閉じれば雨の音...」テントにたかる「害虫」の大群、キャンパーが撮影した「トラウマ映像」にネット戦慄

  • 3

    高速鉄道熱に沸くアメリカ、先行する中国を追う──新幹線も参入

  • 4

    半裸でハマスに連れ去られた女性は骸骨で発見された─…

  • 5

    魔法の薬の「実験体」にされた子供たち...今も解決し…

  • 6

    「テヘランの虐殺者」ライシ大統領の死を祝い、命を…

  • 7

    エジプトのギザ大ピラミッド近郊の地下に「謎めいた…

  • 8

    イスラエルはハマスの罠にはまった...「3つの圧力」…

  • 9

    EVが売れると自転車が爆発する...EV大国の中国で次々…

  • 10

    立ち上る火柱、転がる犠牲者、ロシアの軍用車両10両…

  • 1

    半裸でハマスに連れ去られた女性は骸骨で発見された──イスラエル人人質

  • 2

    EVが売れると自転車が爆発する...EV大国の中国で次々に明らかになる落とし穴

  • 3

    娘が「バイクで連れ去られる」動画を見て、父親は気を失った...家族が語ったハマスによる「拉致」被害

  • 4

    立ち上る火柱、転がる犠牲者、ロシアの軍用車両10両…

  • 5

    エジプトのギザ大ピラミッド近郊の地下に「謎めいた…

  • 6

    「EVは自動車保険入れません」...中国EVいよいよヤバ…

  • 7

    「隣のあの子」が「未来の王妃」へ...キャサリン妃の…

  • 8

    SNSで動画が大ヒットした「雨の中でバレエを踊るナイ…

  • 9

    米誌映画担当、今年一番気に入った映画のシーンは『…

  • 10

    「まるでロイヤルツアー」...メーガン妃とヘンリー王…

  • 1

    半裸でハマスに連れ去られた女性は骸骨で発見された──イスラエル人人質

  • 2

    ロシア「BUK-M1」が1発も撃てずに吹き飛ぶ瞬間...ミサイル発射寸前の「砲撃成功」動画をウクライナが公開

  • 3

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士が教えるスナック菓子を控えるよりも美容と健康に大事なこと

  • 4

    EVが売れると自転車が爆発する...EV大国の中国で次々…

  • 5

    新宿タワマン刺殺、和久井学容疑者に「同情」などで…

  • 6

    立ち上る火柱、転がる犠牲者、ロシアの軍用車両10両…

  • 7

    やっと撃墜できたドローンが、仲間の兵士に直撃する…

  • 8

    一瞬の閃光と爆音...ウクライナ戦闘機、ロシア軍ドロ…

  • 9

    ロシア兵がウクライナ「ATACMS」ミサイルの直撃を受…

  • 10

    ヨルダン・ラジワ皇太子妃のマタニティ姿「デニム生地…

日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中