コラム

李在明外交に潜む「同盟派」vs「自主派」の路線対立とは?

2025年07月16日(水)17時45分

「韓国に台湾海峡問題に関与する意思なし」

にもかかわらず、韓国の人々が対立する米中の間でアメリカではなく「均衡外交」を選択する背景にあるのは、トランプ政権成立以降、アメリカに対する忌避感情も次第に拡大しているからである。つまり、米中両国が共に信用できない存在なら、模範解答は両者から共に距離を置くことであり、その対立に巻き込まれないのが韓国にとって利益になる、というわけである。

このような韓国世論は、新政権関係者の発言にストレートに反映されている。例えば、李在明や李鍾奭は「韓国には台湾海峡問題に関与する意思が存在しない」と繰り返し明らかにしている。とはいえ、このような状況は、日本をはじめとする西側諸国にとって決して好ましいものではない。トランプ政権に対して不信が高まっても、韓国をいかにアメリカを中心とする陣営の側に引き留めるのか。奔放なトランプ政権を一方の側に置き、日本外交にとっては難しい局面が続きそうだ。


プロフィール

木村幹

1966年大阪府生まれ。神戸大学大学院国際協力研究科教授。また、NPO法人汎太平洋フォーラム理事長。専門は比較政治学、朝鮮半島地域研究。最新刊に『韓国愛憎-激変する隣国と私の30年』。他に『歴史認識はどう語られてきたか』、『平成時代の日韓関係』(共著)、『日韓歴史認識問題とは何か』(読売・吉野作造賞)、『韓国における「権威主義的」体制の成立』(サントリー学芸賞)、『朝鮮/韓国ナショナリズムと「小国」意識』(アジア・太平洋賞)、『高宗・閔妃』など。


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