気温40℃、空港の「暑さ」も原因に?...元パイロットが指摘する、墜落したインド航空機の問題点
Air India Flight 171 Crash: Veteran Pilots on What Could Have Gone Wrong

離陸直後に墜落したエア・インディア171便の尾翼部分 ADNAN ABIDIーREUTERS
<品質問題に揺れるボーイング機の事故。原因は構造的問題か、操縦ミスか、はたまた別の問題か?──>
エア・インディア171便が、インド西部アーメダバード空港を離陸した直後に墜落した。乗員乗客242人は、奇跡的に助かった1人を除き、全員死亡。機体が激突した医科大学の建物にいた人を含めると、犠牲者は270人に上るとみられる。
【動画】カメラが捉えていた「大爆発の瞬間」...エア・インディア171便の墜落の様子
事故機は、皮肉にもドリームライナーという愛称を持つボーイング787型機。先進的な技術を詰め込んだ次世代型旅客機として華々しく登場したことは、まだ記憶に新しい。2011年の運用開始以来で初の墜落事故となった。
171便は6月12日午後、高度625フィート(約190メートル)まで上昇した後、機首を上げたまま急降下して、近隣の建物に突っ込んだ。事故当時は見通しのよい晴天で気象条件に問題はなかっただけに、機体の構造的問題か、操縦ミスか、整備不良かと、さまざまな原因説が乱れ飛んでいる。
事故の様子を偶然撮影した動画を見て、元パイロットのダン・バブ(Dan Bubb)米ネバダ大学ラスベガス校准教授らは、事故機はフラップが出ていないと指摘する。フラップは離着陸のとき主翼の前後に伸びるもので、翼の面積を大きくして、揚力を高める働きがある。
元ブリティッシュ・エアウェイズのパイロットであるアラステア・ローゼンシャイン(Alastair Rosenschein)も、事故機はフラップが伸びていないため、「飛行を維持できなかっただろう」と、英スカイ・ニュースに語っている。
また、車輪が出たままになっていることを指摘し、これも上昇を妨げた一因とみる。