イラン主要濃縮施設の遠心分離機、「深刻な損傷」の公算=IAEA事務局長

国際原子力機関(IAEA)のグロッシ事務局長(写真)は16日、イスラエルによる軍事攻撃後のイランの核施設の状況について最新状況を発表した。16日撮影(2025年 ロイター/Elisabeth Mandl)
[ウィーン 16日 ロイター] - 国際原子力機関(IAEA)のグロッシ事務局長は16日、イスラエルの軍事攻撃に伴う停電によって、イラン中部ナタンズの主要ウラン濃縮施設で稼働していた約1万5000台の遠心分離機が大きな損傷を受けた、もしくは破壊された公算が大きいという認識を示した。
グロッシ氏はBBCとのインタビューで「われわれの評価では、突然の外部電源喪失により、遠心分離機は完全に破壊されなくても、深刻な損傷を受けた可能性が高い」とし、「内部に被害が出ていると思う」と語った。
IAEA理事会の臨時会合では「13日の攻撃で地上部分が破壊された試験用燃料濃縮施設のほかに、ナタンズ濃縮施設敷地には新たな被害は確認されていない」としていた。
フォルドゥの濃縮施設については、新たな被害は確認されていないと明らかにした後、BBCに対し「被害があっても、極めて限定的」という認識を示した。
同氏は先週末、イスラエルによる攻撃でエスファハンの核施設にある建物4棟が損傷したと表明しており、今回その被害について詳しく説明した。
「エスファハンの核施設では、中央化学研究所、ウラン転換工場、テヘラン原子炉燃料製造工場、そして建設中だった、四フッ化ウラン(UF4)から濃縮ウラン金属を加工する施設の計4棟が13日の攻撃で被害を受けた」と語った。
IAEAは今後も引き続きイラン国内に駐留し、活動を継続する方針を示し、安全が確保され次第、保障措置に関する査察も再開されると述べた。