コラム

「悟りってどんな状態?」悟った50人に心理学的手法で詳しく聞いてみた結果とは(TransTech Conferenceから)

2019年02月07日(木)17時30分

悟りの段階が進むにつれて、ネガティブな思考が減ってポジティブな気持ちになることがわかった CasarsaGuru/iStock.

エクサウィザーズ AI新聞から転載

<悟りをひらいたとされる人たちをインタビューした結果、「自我の感覚の変化」「雑念の減少」など、彼らの経験には一定の共通点があった。科学的手法で解析した「悟り」とは>

人類を進化させる技術TransTech Conference関連の記事4本目。前回の記事「マズローの欲求5段階説にはさらに上があった。人類が目指す自己超越とは(TransTech Conferenceから)」の記事では、ハングリー精神や欠乏感を持って自己実現を目指しても、結局幸福になれないという話をした。

自己実現した多くの人は、その先を目指し始めた。また社会的成功を目指す途中の人たちも、激化する競争に疲弊し始めている。欠乏感から解き放たれた幸福に向かって、人類は進み始めているのかもしれない。

同カンファレンスの共同創業者Jeffery Martin博士は、その幸福を「fundamental well-being(心のベースにある幸福感)」と呼ぶ。特にいい出来事が起こらなくとも、幸福で、満たされた状態のことを指している。宝くじが当たった、片思いの人に告白したら両思いになった、仲間と飲み会で盛り上がった、などという出来事をベースにした幸福感ではない。「たとえ離婚で苦しくても、心のベースにはこれでいいんだという幸福感がある。そんな状態をfundamental well-beingと呼んでいる」と同博士は語っている。

Martin博士は、宗教家など、「悟っている」「覚醒している」と言われる人たちの中に、そうした幸福感を持っている人が多いことに気づき、これらの人々に連絡を取って回った。インターネットや図書館で調べたり、人から紹介されたりして、12年間でこれまでに2500人以上にコンタクトを取ってきたという。悟った人は同様に悟った人との付き合いが多いらしく、数珠つなぎで紹介してもらった結果、被験者は宗教家というより、一般的な人が多くなったという。「悟りというと宗教家に限定されるイメージだが、一般的な人の間にも悟っている人が山のようにいることが分かった」と同博士は語っている

Martin博士が「Clusters of Individual Experiences form a Continuum of Persistent Non-Symbolic Experiences in Adults(大人の継続的非記号体験のクラスタが作る連続体)」という論文を書いた時点では、連絡を取ったのが約500人。その中から50人を選別し、一人当たり6時間から12時間のインタビューを行い、計量心理学的手法、身体的計測や実験を繰り返した。その結果、「悟っている」人々の間には一定の共通点があることが分かったという。

プロフィール

湯川鶴章

AI新聞編集長。米カリフォルニア州立大学サンフランシスコ校経済学部卒業。サンフランシスコの地元紙記者を経て、時事通信社米国法人に入社。シリコンバレーの黎明期から米国のハイテク産業を中心に取材を続ける。通算20年間の米国生活を終え2000年5月に帰国。時事通信編集委員を経て2010年独立。2017年12月から現職。主な著書に『人工知能、ロボット、人の心。』(2015年)、『次世代マーケティングプラットフォーム』(2007年)、『ネットは新聞を殺すのか』(2003年)などがある。

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