コラム

テクノロジーで瞑想を不要に TransTech Conferenceから

2019年02月12日(火)16時00分

そこで同博士はVieLight社に依頼して、200Hzまで周波数を高めることのできるヘッドセットを実験用に開発してもらった。そしてそれを著名瞑想教師Culadasa師に試してもらったところ、80Hz、120Hz、160Hz、200Hzといった40の倍数のところで大きな効果を感じたという。同師は、200Hzになると「PNSE(悟りの段階を示す心理学用語、関連記事「悟りってどんな状態?」悟った50人に心理学的手法で詳しく聞いてみた結果とは TransTech Conferenceから」)のレベル8や9といった最高の段階の悟りの状態に簡単に入ることができると語ったという。

そのほかにも瞑想の熟練者に試してもらったところ、ほとんどの人が同じような感覚を得たという。また周波数によっては効果が異なることも分かった。例えば40Hzでは、集中力、メタ認知能力、平静さが増し、80Hzではポジティブな感情や喜び、体内の振動の流れを感じ、100Hz以上では、自我の拡大、深い静けさ、妄想の減少などの効果があったという。Manchanda博士は「低い周波数は、リラックスに効果があるなど、どちらかというと身体に関する効果がある。周波数が高くなると、潜在意識、集合意識などに効果があるのかもしれない」と語っている。

小さな部位にフォーカスできる超音波

電気や光は頭蓋骨の外から照射する。それでも効果は確認されているが、瞑想に最も関与していると思われるのは、より深い部分の脳。関与している部分だけにエネルギーを送りたいわけだが、それはこれまでとても難しかった。

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ところが超音波を使えば特定の部位にピンポイントでエネルギーを送ることができるようになってきた。超音波変換器の発信部分をパラボラアンテナなような形にカーブさせることで、脳内の非常に小さな部位だけにエネルギーを送ることができるという。アリゾナ大学のSanguinetti博士によると、過去10年間で超音波刺激技術は目覚しい進展を遂げており、脳の特定の部位に刺激を与えることで、ウサギのヒゲを自在に動かせるようになっているという。

プロフィール

湯川鶴章

AI新聞編集長。米カリフォルニア州立大学サンフランシスコ校経済学部卒業。サンフランシスコの地元紙記者を経て、時事通信社米国法人に入社。シリコンバレーの黎明期から米国のハイテク産業を中心に取材を続ける。通算20年間の米国生活を終え2000年5月に帰国。時事通信編集委員を経て2010年独立。2017年12月から現職。主な著書に『人工知能、ロボット、人の心。』(2015年)、『次世代マーケティングプラットフォーム』(2007年)、『ネットは新聞を殺すのか』(2003年)などがある。趣味はヨガと瞑想。妻が美人なのが自慢。

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