コラム

AI時代到来「それでも仕事はなくならない」...んなわけねーだろ

2016年05月13日(金)16時00分

 またマネジメント能力も、例えば工場長としてのマネジメント能力になれば今後は、AIのほうが人間を上回ると見られている。今後、工場内のほとんどすべての工程が全自動化され、あらゆるところにセンサーが設置されて、そのセンサーから集められるデータをベースに、生産計画が立てられるようになる。どういう風に機械を管理し、どういうような工程を組めば、生産量を最大化できるのか。膨大なデータを踏まえての判断は、人間よりもAIのほうが得意になるだろう。

 ホスピタリティ能力も、AIやロボットのほうが人間より高くなるだろう。顧客一人ひとりの要望をより正確に把握し、どんな無理難題にも嫌な顔一つせず、夜中まで働き続ける。きつい職場であればあるほど、ロボットは見事なホスピタリティを発揮してくれることだろう。

 ロボット工学の権威、大阪大学の石黒浩教授は、「人間のほうが優れていると言われている能力は、数値化できない能力ばかり。数値化できないので、比較できないだけのこと。数値化できるようになった時点で、人工知能、ロボットは数値を向上させるために試行錯誤を続けて学習し、あっという間に人間を超えるだろう」と語っている。

残るのは「儲からない仕事」だけ

 なくなる仕事に代わって登場する新しい仕事にしても、数値化できる仕事、儲かる仕事は、すぐにでもAIとロボットに取って代わられることだろう。「今の仕事がなくなっても、別の仕事が登場する」という20世紀までの「真実」は、21世紀以降には「真実」ではなくなるわけだ。

「儲かる仕事」から順番にAIに取って代わられる近未来。具体的にはどのような社会になるのだろうか。

 人間は「儲からない仕事」だけれども「やりがいのある仕事」に従事するようになる。「儲かる仕事」がなくなるので、多くの人は所得が減少する。60歳定年退職なんて制度は過去の遺物になり、生涯現役が当たり前になる。「一生働き続けなければならない社会」でもあり「一生、好きなことをして働き続けることのできる社会」でもある。そして最後には貨幣の流通量が減り、資本主義社会が自然死するという予測さえある。

 貨幣所得が減少する社会がどのような社会になるのかは、改めて別の機会に考察したいと思う。

【著者からのお知らせ】2歩先を創る少人数制勉強会TheWave湯川塾34期のテーマは「テクノロジーが変える働き方」です。塾生募集を始めました。

プロフィール

湯川鶴章

AI新聞編集長。米カリフォルニア州立大学サンフランシスコ校経済学部卒業。サンフランシスコの地元紙記者を経て、時事通信社米国法人に入社。シリコンバレーの黎明期から米国のハイテク産業を中心に取材を続ける。通算20年間の米国生活を終え2000年5月に帰国。時事通信編集委員を経て2010年独立。2017年12月から現職。主な著書に『人工知能、ロボット、人の心。』(2015年)、『次世代マーケティングプラットフォーム』(2007年)、『ネットは新聞を殺すのか』(2003年)などがある。趣味はヨガと瞑想。妻が美人なのが自慢。

あわせて読みたい
ニュース速報

ビジネス

アングル:欧州で若者向け住宅購入の新ビジネス、価格

ワールド

焦点:道半ばの中国「社会保険改革」、企業にも個人に

ワールド

昨年の関税合意実施を米と確認、日本が不利にならない

ビジネス

米国株式市場=続落、ダウ453ドル安 原油高と雇用
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:トランプのイラン攻撃
特集:トランプのイラン攻撃
2026年3月10日号(3/ 3発売)

核開発の断念を迫るトランプ政権が攻撃を開始。イランとアメリカの本格戦争は始まるのか?

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    中国はイランを見捨てた? イランの「同盟国」だったはずの中国が、不気味なまでに静かな理由
  • 2
    日本の保護者は自分と同じ「大卒」の教員に敬意を示さない
  • 3
    10歳少女がライオンに激しく襲われる...中国の動物園で撮影された「恐怖の瞬間」映像にネット震撼
  • 4
    日本の若者「韓国就職」憧れと現実のギャップ ── ビ…
  • 5
    「みんな一斉に手を挙げて...」中国の航空会社のフラ…
  • 6
    「巨大な水柱に飲み込まれる...」米海軍がインド洋で…
  • 7
    サファリ中の女性に悲劇...ライオンに「くわえ去られ…
  • 8
    【長期戦はイラン有利】米側の体制転覆シナリオに暗…
  • 9
    「毎日が人生最後の日」だと思って酒を飲む...84歳医…
  • 10
    【WBC】侍ジャパン、大谷翔平人気が引き起こした球場…
  • 1
    日本の若者「韓国就職」憧れと現実のギャップ ── ビザの壁、会社都合の解雇、帰国後も続く苦境
  • 2
    縫いぐるみが相棒、孤独なサル「パンチくん」がバズった理由
  • 3
    BTS復活...でも、韓国エンタメが「苦境」に陥っている
  • 4
    イラン猛反撃、同士討ちまで起きる防空戦はいつまで…
  • 5
    「毎日が人生最後の日」だと思って酒を飲む...84歳医…
  • 6
    見事なカンフーを見せた中国ヒト型ロボットのからく…
  • 7
    サファリ中の女性に悲劇...ライオンに「くわえ去られ…
  • 8
    少子化に悩む韓国で出生率回復...昨年過去最大の伸び…
  • 9
    「死体を運んでる...」Google Earthで表示される「不…
  • 10
    「若い連中は私を知らない」...大ヒット映画音楽の作…
  • 1
    ウクライナ戦闘機「F-16」がロシア軍「シャヘド」を空中爆破...地上から撮影の「レア映像」を公開
  • 2
    台湾侵攻「失敗」の大きすぎる代償
  • 3
    「最恐」恐竜T・レックスの定説を覆す新研究が
  • 4
    イースター島の先住民から資源を略奪、島を「生きた…
  • 5
    見事なカンフーを見せた中国ヒト型ロボットのからく…
  • 6
    アルコールは血糖値を下げる...「脳と血管を守る」医…
  • 7
    「ヘル・コリア」から日本へ7万人 ── 大企業の高給より…
  • 8
    中国、パナマ運河の港湾喪失でパナマに報復──トラン…
  • 9
    命は長し、働け女たち――88歳「働くばあさん」が説く…
  • 10
    「罠に嵌められた」と主張するが...欧州で次々と摘発…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story