コラム

人工知能が万人のものに?米新興企業データロボットがヤバイらしい件

2016年01月28日(木)18時04分

 リクルートは昨年11月にデータロボット社に出資したと発表した。仕掛け人は加藤さんに違いないと思って連絡すると、やはり加藤さんだった。

 またしてもデータロボットだ。なんなんだ、この会社は。

データサイエンスのドリームチーム

 人工知能の研究者や人工知能を実際に運用するデータサイエンティストたちと話していると、Kaggleという言葉をよく耳にする。どうやらKaggleは、データサイエンティストたちのコンペティションのサイトらしい。腕に覚えのある約30万人のデータサイエンティストたちが登録しているのだとか。

 企業や大学が人工知能を使って解いてもらいたい問題をこのサイト上で公開すると、世界中のデータサイエンティストたちが問題を解くための数式モデルを考案し公開する。その中で最も優秀なモデルを提示したデータサイエンティストに賞金が手渡される。ただデータサイエンティストたちにとっては賞金よりも、世界中のデータサイエンティストからの賞賛を受けるということのほうが重要なようだが。

 シバタさんによると、そのKaggleで30万人の頂点に立つようなトップデータサイエンティストたちが何人も、このデータロボット社に在籍しているのだという。つまりデータサイエンティストのドリームチーム。それがデータロボット社だという。

予測モデルの構築はここまで自動的になった

 ではデータロボットはどのようなサービスを提供しているのだろうか。簡単に言ってしまえば、データさえあれば予測モデルをほぼ自動で作成してくれるというサービスだ。

 1つの例として、米国のある医療機関のデータを基に、退院した患者が再入院する可能性を予測するモデルをデータロボットのシステムが作成する様子を見せてもらった。

 アメリカでは医療の質の問題から、退院した患者の症状が悪化し再入院する問題が顕在化している。どういう処置を取れば患者の再入院率を低下させることができるのか。適切な処置を提案してくれるモデルを、データロボットのシステムが自動的に作成するのだという。

 入力するのは患者の年齢、性別、病気の種類や症状といった患者の属性データに加えて、病院側で行った処置のデータ、そして30日以内の再入院の記録などのデータだ。インターネットを通じて、これらのデータがデータロボットのサーバーに送られ、どのデータがどの程度、再入院に関係しているのかを解析。再入院率を予測するための計算モデルを自動的に作り出してくれる。

プロフィール

湯川鶴章

AI新聞編集長。米カリフォルニア州立大学サンフランシスコ校経済学部卒業。サンフランシスコの地元紙記者を経て、時事通信社米国法人に入社。シリコンバレーの黎明期から米国のハイテク産業を中心に取材を続ける。通算20年間の米国生活を終え2000年5月に帰国。時事通信編集委員を経て2010年独立。2017年12月から現職。主な著書に『人工知能、ロボット、人の心。』(2015年)、『次世代マーケティングプラットフォーム』(2007年)、『ネットは新聞を殺すのか』(2003年)などがある。趣味はヨガと瞑想。妻が美人なのが自慢。

あわせて読みたい
ニュース速報

ワールド

香港火災の死者128人に、約200人が依然不明 報

ビジネス

仏GDP、第3四半期確報は前期比+0.5% 速報値

ワールド

東南アジアの洪水、死者183人に 救助・復旧活動急

ビジネス

電気・ガス代支援と暫定税率廃止、消費者物価0.7ポ
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:ガザの叫びを聞け
特集:ガザの叫びを聞け
2025年12月 2日号(11/26発売)

「天井なき監獄」を生きるパレスチナ自治区ガザの若者たちが世界に向けて発信した10年の記録

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    インド国産戦闘機に一体何が? ドバイ航空ショーで墜落事故、浮き彫りになるインド空軍の課題
  • 2
    【最先端戦闘機】ミラージュ、F16、グリペン、ラファール勢ぞろい ウクライナ空軍は戦闘機の「見本市」状態
  • 3
    7歳の息子に何が? 学校で描いた「自画像」が奇妙すぎた...「心配すべき?」と母親がネットで相談
  • 4
    【寝耳に水】ヘンリー王子&メーガン妃が「大焦り」…
  • 5
    【クイズ】次のうち、マウスウォッシュと同じ効果の…
  • 6
    100年以上宇宙最大の謎だった「ダークマター」の正体…
  • 7
    「攻めの一着すぎ?」 国歌パフォーマンスの「強めコ…
  • 8
    がん患者の歯のX線画像に映った「真っ黒な空洞」...…
  • 9
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるよ…
  • 10
    7歳の娘の「スマホの検索履歴」で見つかった「衝撃の…
  • 1
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるようになる!筋トレよりもずっと効果的な「たった30秒の体操」〈注目記事〉
  • 2
    インド国産戦闘機に一体何が? ドバイ航空ショーで墜落事故、浮き彫りになるインド空軍の課題
  • 3
    ポルノ依存症になるメカニズムが判明! 絶対やってはいけない「3つの行動」とは?【国際研究チーム】
  • 4
    マムダニの次は「この男」?...イケメンすぎる「ケネ…
  • 5
    AIの浸透で「ブルーカラー」の賃金が上がり、「ホワ…
  • 6
    海外の空港でトイレに入った女性が見た、驚きの「ナ…
  • 7
    【最先端戦闘機】ミラージュ、F16、グリペン、ラファ…
  • 8
    「髪形がおかしい...」実写版『モアナ』予告編に批判…
  • 9
    「週4回が理想です」...老化防止に効くマスターベー…
  • 10
    老後資金は「ためる」より「使う」へ──50代からの後…
  • 1
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」はどこ?
  • 2
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」に...日本からは、もう1都市圏がトップ10入り
  • 3
    一瞬にして「巨大な橋が消えた」...中国・「完成直後」の橋が崩落する瞬間を捉えた「衝撃映像」に広がる疑念
  • 4
    「不気味すぎる...」カップルの写真に映り込んだ「謎…
  • 5
    【写真・動画】世界最大のクモの巣
  • 6
    高速で回転しながら「地上に落下」...トルコの軍用輸…
  • 7
    「999段の階段」を落下...中国・自動車メーカーがPR…
  • 8
    【クイズ】クマ被害が相次ぐが...「熊害」の正しい読…
  • 9
    まるで老人...ロシア初の「AIヒト型ロボット」がお披…
  • 10
    【クイズ】ヒグマの生息数が「世界で最も多い国」は…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story