
ドイツの街角から
夜空に咲く芸術・ヘレンハウゼン庭園が光の舞台に!ハノーファー国際花火競技大会レポート
世界を舞台に輝く花火師たち
英国パイロテックス・ファイヤーワークスは、1999年にマーク・ケルソールによって設立されたチーム(画像下)。花火の芸術性に加え、音楽業界での経験を活かした演出が特徴だ。これまでにもバンクーバー(2024)で審査員賞と観客賞をダブル受賞、フィリピン(2019)ではグランドチャンピオンに輝くなど、世界中で高い評価を得ている。
審査は「創造性」「音楽とのシンクロ」「技術」「色彩・効果」「革新性」といった基準で行われ、最も調和の取れたショーが優勝を勝ち取る。その厳正な審査を経て、今年の勝者となった英国チームの25分間の光の物語は、まさに「芸術作品」だった。
歴史と花火をつなぐ ― ヘレンハウゼン庭園
この大会が特別なのは、花火の美しさだけではない。開催地となるヘレンハウゼン庭園は、ハノーファー王家のソフィー選妃が17世紀に造らせた壮麗な庭園だ。
同園は、フランスのヴェルサイユ宮殿の影響を受けているものの、独自の要旨を持つドイツ・バロック庭園の最高傑作の一つとして注目を集めている。
今回の大会で英国が特別な意味を持っていたのは、その歴史的な背景もある。実はハノーファーと英国には歴史的な絆がある。1714年、英国の王位継承問題がきっかけで、ハノーファー選帝侯の家系が英国王位を継承し、ハノーファー朝が始まった。以後、1837年まで両国は王を同じくする同君連合の関係にあった。
約120年続いた同君連合は、1837年のヴィクトリア女王が即位した際、ハノーファーでは女性の相続を認めない法があったため、英国とハノーファーは別々の王家となった。
ハノーファー選帝侯エルンスト・アウグストの妃ソフィー(1630-1714)は、ジョージ1世の母。本来なら、ソフィー妃が英国女王になるはずだったが、1714年即位前に亡くなり、その直後に息子のジョージ1世が王位に就いた。
ソフィー妃はバロック庭園文化を愛し、彼女の時代にヘレンハウゼン宮殿と大庭園が大規模に整備された。設計や造園計画に深く関与し、哲学や芸術を好んだ知的な女性だった。庭園の一角にはソフィーの道や彼女が没した場所には記念碑もあり、現在でもその功績を称えている。
2026年は...

- シュピッツナーゲル典子
ドイツ在住。国際ジャーナリスト協会会員。執筆テーマはビジネス、社会問題、医療、書籍業界、観光など。市場調査やコーディネートガイドとしても活動中。欧州住まいは人生の半分以上になった。夫の海外派遣で4年間家族と滞在したチェコ・プラハでは、コンサートとオベラに明け暮れた。長年ドイツ社会にどっぷり浸かっているためか、ドイツ人の視点で日本を観察しがち。一市民としての目線で見える日常をお伝えします。
Twitter: @spnoriko























































