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パリのカフェのテラスから〜 フランスって、ホントはこんなところです

RIKAママ|フランス

クリスマスには何を食べる? ノエルから年末年始 食べ続けるフランス人を待ち受けているもの

ノエル仕様に綺麗にパッケージされたフォアグラの山   筆者撮影

12月に入った頃から、職場でも、もっぱらの話題は、「ノエルには何を作る?」「ノエルには何を食べる?」という話題で持ちきりになります。我が家でも、娘が小さい頃は、小さなノエルボックスを作って、それぞれがノエルに食べたいものを書いて、箱に入れておき、ノエルがいよいよ近付いた頃に、その中からノエルのメニューを選ぶことにしていました。ノエルは、24日、25日だけでなく、ノエルのご馳走やプレゼントの準備をするところから楽しむフランス人です。フランス人にとって、ノエルはバカンスの次、いやバカンス同様に人生の重大事で、今年は特に10月の深刻なコロナウィルスの感染悪化からロックダウンになった時には、あわや今年はノエルを家族と過ごすことができないのではないか?と思われていた時期もありました。なにせ、1日の新規感染者が6万人以上の日が何日も続いたのですから、ノエルも絶望的と考えるのも無理のないことです。

しかし、11月のロックダウンにより、1日の新規感染者は、一ヶ月で1万人近くまで減少し、制限はあるものの、フランスは、ノエルを家族と過ごすことが認められることになりました。多くの店舗が営業停止にはなったものの、私から見れば、学校も仕事も継続のまま、外出証明書さえ携帯すれば、出かけることができ、実際に街の中は、大していつもと変わりのないように見えていたロックダウンでも、フランス人は、目の前にぶら下げられている「ノエルを家族と過ごす」というニンジンのために、いつも以上に感染に注意した生活を送っていたのだと思います。正直、この一ヶ月間で、これだけ成果が現れたことは、意外でした。

とはいえ、まだ1万人以上も毎日感染者が出ている状態で、ノエルをどうするのだろう?と、思っていましたが、結局のところ、ここまで頑張って感染が減少したにも関わらず、ノエルに「NO!」ということは、結局、政府も言えず、ノエルの会食は1テーブルに6人まで(子供はカウントしない)ということで、ノエル解禁となったのです。

フランス人がお金を使うのは、バカンスとノエル

フランス人は、一部の富裕層は別として、一般的には、日常はとても質素で倹約家。シンプルな生活をしています。中村江里子さんのブログに出てくるような華麗な暮らしをしている人は、ごくごく一部の人です。車も大半の人は、中古車を選び、ボコボコになった車を乗り続けます。その車でさえ、度重なるロックダウンにより、手放す人が増えています。

フランスはグルメの国などと言われていますが、日常の食事など、一般家庭は、とてもシンプルなもので、スープにハム、もしくは、肉を簡単に焼いて、パンとチーズなどの乳製品のデザート、もしくは冷凍食品などで済ませてしまう家庭も多いのです。日本の家庭のように、一度の食事に何品もがテーブルにのぼることなども、あまりありません。フランスの冬の定番メニューであるポトフなども、野菜や肉を煮込んで、煮込んだスープはスープとして、肉や野菜は別にメインディッシュにして食べます。家庭の中で、女性も仕事を持つのが当たり前のフランスでは、それが合理的なのかもしれません。

フランス人が日頃の質素な生活で倹約したお金を一気に使うのが夏の一ヶ月に渡るバカンスとノエルです。フランスには、お中元、お歳暮などの贈答品の習慣がない分、ノエルのプレゼントに一極集中します。日頃、ケチなフランス人が家族や友人の分を一つ一つプレゼントを買い集め、日頃は質素な食事をしているフランス人家庭でもノエルのための食事にはお金を使います。当然、業種にもよりますが、多くの商店の売り上げは、このノエル前の一ヶ月にほぼ、年間の売上のうちの70〜80%を売り上げます。

仰々しくガラスケースに入れられているキャビア.JPG

別格に仰々しくガラスケースに入れられているキャビア  筆者撮影

シャンパン山積み.JPG山積みにされたシャンパン  筆者撮影

フランス人はノエルに何を食べるのか?

フランス人が大切にしているノエルの中でも、最も盛り上がりを見せるのは、ノエルの食事です。12月に入った頃から、スーパーマーケットの食料品売り場は、キラキラし始めます。どの食材も一年を通じて、手に入るものではありますが、高級食材が軒並み前面に並び始め、特にスポットライトを当てられるいくつかのノエルの定番食品があります。

シャンパン、フォアグラ、キャビア、スモークサーモン、生牡蠣、シャポン(去勢して8ヶ月以上かけて育てた大きな鶏)、鴨肉、子羊の脚、ブッシュ・ド・ノエル(クリスマスケーキ・フランスのクリスマスケーキは丸太型をしています)、チョコレートなどなど、ほぼほぼ、いつも見かける食品(シャポンはこの時期にしか見ません)ながら、きれいにノエル用にお色直しをしてパッケージされた商品が山積みになって売られています。12月前半になると、フォアグラはテレビのコマーシャルにまで登場しています。フォアグラ・・大好きなんですよね・・フランス人。テレビのコマーシャルを見ていると、その国のお国柄が表れるような気がするのですが、日本のテレビコマーシャルはビールのコマーシャルが多いのにびっくりしますが、フランスは、香水、乳製品、車などが多いです。先日、コンテ(チーズ)のコマーシャルが出てきて、「コンテが嫌いな人に会ったことある?」というくだりがあって、笑ってしまいました。確かに、フランス人でコンテが嫌いな人はいないかもしれません。

鴨肉 カナール.jpgメダル付きの鴨肉がゴロゴロ 一つ20ユーロ前後  筆者撮影

シャポン この時期にしか見かけない.jpgシャポンは一年のこの時期にしか見かけない去勢鶏(詰め物をして焼きます)  筆者撮影

シャポンは、他の食材と違って一年のこの時期にしか見かけないノエルならではの食材です。今は、色々な食材を楽しみますが、クリスマスに七面鳥やチキンというように、フランスでは、このシャポンに栗などの詰め物をして焼いたものが伝統的なノエルのメニューだったようです。普通のチキンよりも二回りほどの大きさで、豪華にテーブルを彩ります。

生牡蠣 WV.jpg生牡蠣はこんな風に殻付きのまま箱入りで売られています  筆者撮影

ここに挙げたのは、ほんの一部でしかありませんが、フランス人は、これらの食品を綺麗にデコレーションして、24日のクリスマスイブから延々と食べ続けます。ただでさえ食事時間の長いフランス人です。ノエルともなるとこれは、もう永遠に続くと思われるほどに食べ、喋り続けます。ノエルには特にシャンパンで乾杯してアペリティフから始まり、延々と食事は続きます。24日はたいてい夜からですが、25日は昼すぎからという家庭も多いです。昼過ぎから始まるので、昼に延々と食べたと思ったら、喋っている間に、また夕食です。ですから、24日、25日の分のメニュー、そして、数日置いて、レヴェイヨンといって、年越しの宴の間、メンバーは家族から友人へと変わっていきますが、食べ続けることに変わりありません。そして、年明けには、公現祭に食べるという由来のガレット・デ・ロワ(アーモンドを使ったパイ)が待っています。年明けには、このガレット・デ・ロワを行く先々で食べることになります。ガレット・デ・ロワには、必ず紙でできた王冠が添えられており、中にはフェーブと呼ばれる陶器の人形が入っていて、フェーブを引き当てた人は、その年、一年幸福になると言われています。実に24日のクリスマスイブからこのガレット・デ・ロワの波が終わるまで、フランスでは延々に食べ続けている感があります。

ブッシュ ポール WV.JPGブッシュ・ド・ノエル 予約注文したら10%割引のポスター  筆者撮影

ロックダウンが解除になり、買い物に明け暮れる人々を見ていて、改めて気がついたことがあります。それは、様々な高級食材が飛ぶように売れる中、地道に売れているのは、チョコレートではないか?ということです。フランス人のチョコレート好きは有名で、フランス人は、年間一人当たり7㎏のチョコレートを消費すると言われています。スーパーマーケットの入り口には、高々と山積みにされたキラキラの大きなチョコレートの箱。我が家も、娘のリクエストにより、「ブッシュ・ド・ノエルはいらないから、メゾン・ド・ショコラのチョコレートがいい!」というので、メゾン・ド・ショコラのお店に珍しく足を運んだところ、高級店にもかかわらず、かなりな人出。近所の Jeff de Bruges というチョコレート専門店でも、行列ができていて、ごくごく庶民的と思われる親子が箱詰めにしてもらうチョコレートを楽しそうに選んでいました。チョコレートは大人にも子供にも受け入れられるみんなが大好きなものなのです。フランスで贈り物に困ったら、チョコレートにしておけば、とりあえず、間違いはないかもしれません。

メゾンドショコラ WV.JPGクリスマス用のパッケージが並ぶメゾン・ド・ショコラの店内  筆者撮影

喋り、食べ尽くした後に待っているコロナウィルス第3波

いずれにしても、今年は、コロナウィルス感染が懸念される特別なクリスマスです。フランスもロックダウンが解除され、ノエルが解禁になり、学校もノエルのバカンスに突入し、75万人が国内大移動を始めました。段階的なロックダウン解除の道をとったフランスではありますが、ロックダウンが解除されたばかりの頃は、1日の感染者数が1万人を切る勢いであったのが、ばったりと減少が止まるどころか、1日平均1万3千人にまで上昇しています。気温の低下とともにウィルスが活発化する中、多くの人が、公共交通機関を使って国内大移動をして、家族で集まり、延々と食べ、喋り続ける果てには、コロナウィルスの第3波が確実にやってきます。

隣国のヨーロッパの国々も深刻な感染状況により厳しい措置をとり、イギリスもコロナウィルスの「新異種」検出により、感染が急速に悪化したために、クリスマスを目前にして、まさかのロックダウン、オーストリアなどは、今からノエル後には、ロックダウンすることを発表しています。

ノエルから年末年始、延々と食べ続けたフランス人は、ちょうどガレット・デ・ロワの波が終わる頃、例年ならば、これからダイエット・・少し運動しなくちゃ!と言い出す頃に、再びロックダウン、動けなくなる可能性が高いのです。さんざん食べて、その後は、動けないブロイラー状態です。先日、マクロン大統領のコロナウィルス感染が伝えられてフランスには衝撃が走りましたが、それでも誰一人として、ノエルをやめようという人はいません。

 

Profile

著者プロフィール
RIKAママ

フランスって、どうしようもない・・と、日々感じながら、どこかに魅力も感じつつ生活している日本人女性。日本で約10年、フランスで17年勤務の後、現在フリー。フランス人とのハーフの娘(1人)を持つママ。東京都出身。

ブログ:「海外で暮らしてみれば・・」

Twitter:@OoieR



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