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イタリアの緑のこころ

石井直子|イタリア

栗が名産、ミケランジェロ生地の栗祭りと栗の文化

カプレーセ・ミケランジェロの栗祭り 2018/10/27 photo: Naoko Ishii

ミケランジェロ生まれた村の栗祭り、トスカーナ カプレーセ・ミケランジェロ

 イタリア中部でも、木々の紅葉が始まり、栗のおいしい季節になりました。毎年10月前後には、わたしたちも山で栗を拾ったり、栗の産地の農家から直接たくさんの栗を購入したりして、もっぱら焼き栗にして、秋の味覚を楽しんでいます。

 また、イタリア各地の栗の名産地では、栗祭りが行われ、露店などで、栗はもちろん、栗でできたお菓子、料理などを購入して食べることができるほか、その他の地方の特産品も、販売されています。

 今回は、トスカーナ州アレッツォ県、アッペンニーニ山脈にある栗の名産地、カプレーセ・ミケランジェロの栗祭りをご紹介します。山中の小さな村、カプレーセは、ルネサンスの巨匠ミケランジェロ(1475-1564)が生まれた村であることから、1913年に、ミケランジェロの名を冠するようになりました。

 

 冒頭の写真は、2018年に、栗祭りの露店で購入したラム酒風味の栗です。祭りでは、栗を量り売りで購入できるほか、焼き栗や栗を使った様々なお菓子も売られています。マロンクリームや栗のリキュールの販売もあります。イタリアの村祭りでは、村の人々が協力して料理を作ってふるまい、比較的安い値段で、おいしい食事を楽しめることが多いのですが、この栗祭りでも、例年は、村人たちが天幕の下で料理したキノコソースのパスタなどを、食べることができます。

 会場には、栗以外にも、チーズやサラミなど、様々な地域の特産物を売る店が並び、特に昼食の時間帯が近づき始めると、この山中の小さな村を目指して、大勢が押しかけるために、路傍に駐車する車の長い列ができます。昨年の秋は、わたしたちはその混雑ぶりに辟易し、栗祭りはあきらめ、よそで食事をすることにしました。

 人気があって毎年大勢でにぎわう祭りであるために、栗祭りが50周年を迎えた今年は、新型コロナウイルス感染拡大を抑えようと、規模を大幅に縮小して、10月18日1日のみの開催となり、参加者に焼き栗がふるまわれたとのことです。

カプレーセの栗の文化と2009年DOP認証取得

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カプレーセ・ミケランジェロの栗林とかつての栗の乾燥小屋 2018/11/11   photo: Naoko Ishii

 トスカーナ州テベレ川渓谷観光案内のサイトによると(リンクはこちら)、カプレーセ・ミケランジェロには、たくさんの栗林があり、かつては冬の間、栗が主要な食料源で、一家に一つ、栗を収穫することができる小区画の土地があったそうです。また、カプレーセの栗林には、古い石造りの小屋が点在していますが、昔はこの小屋が、約1か月間、火を絶やさずに、栗を乾燥させるのに用いられていたとのことです。こうして乾燥させて軽くなった栗を、水車小屋に運び、挽いて栗粉にして、その栗粉で、かつてカプレーセの主食であった、栗のポレンタを作っていたそうです。他の地域に比べて、小さいものの味わいが濃く甘いカプレーセの栗は、2009年に優れた品質を認められ、欧州連合からDOP(原産地呼称保護)の認証を受けています。

 カプレーセの栗林は、栗の収穫時期には立ち入りが禁止されているものの、それ以外の季節には、みごとな栗林の間を、自然を愛でながら歩くことができます。栗林を歩くと、古いものは中世にさえ遡るという、かつての栗の乾燥小屋を、あちこちで見かけます。カプレーセでは、小麦粉だけではなく栗粉も使って作ったカントゥッチを生産しており、栗の文化は、祭りのときだけではなく、今も日々の暮らしの中に、深く根づいているようです。

 

Profile

著者プロフィール
石井直子

イタリア、ペルージャ在住の日本語教師・通訳。山や湖など自然に親しみ、歩くのが好きです。高校国語教師の職を辞し、イタリアに語学留学。イタリアの大学と大学院で、外国語としてのイタリア語教育法を専攻し卒業。現在は日本語を教えるほか、商談や観光などの通訳、イタリア語の授業、記事の執筆などの仕事もしています。

ブログ:イタリア写真草子 Fotoblog da Perugia

Twitter@naoko_perugia

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