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平野美紀|オーストラリア

新幹線ワインでお馴染み「キャセグレイン」と「bills」が手掛けるワイナリーレストラン

新幹線ワインでお馴染み「Cassegrain Wines」と bills が手掛けるワイナリーレストラン「Twotriplefour」(筆者撮影)

新幹線に乗って、駅弁と共に缶ビールで一杯!それは、行楽のための旅行であればもちろん、たとえ出張での移動手段であろうとも、なんだかワクワクしてしまう瞬間だ。

でも、ビールではなく、ちょっとワインを・・・という気分の時、飛行機内であればワインを頼めば、ちょうどグラス一杯分くらいの小瓶ワインが出てくることが多いが、新幹線ではどうだっただろうか?と、調べてみたところ、クオーターサイズ・ボトル(187mL入り)が購入できるそうだ。

この飲みきりサイズのワインはなんと、オーストラリア産で、しかも、豪国内最大のワイン産地である南オーストラリア州のものではなく、ニューサウスウェールズ州の「Cassegrain(キャセグレイン)」というワイナリーのものだというから驚いた。

というのも、この事実をまったく知らず、ちょうど1ヶ月半ほど前に「キャセグレイン」を訪問してきたばかりだったからだ。



キャセグレイン・ワインとは

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フレンチスタイルのオーク樽が並ぶキャセグレイン・ワイナリー。(筆者撮影)

「キャセグレイン」は、新幹線ワインの輸入担当者である田中雅人氏にインタビューした以下の記事にあるように、シドニーとブリスベンを結ぶパシフィックハイウェイの中間地点に位置し、ミッド・ノースコースト地区を代表する「ポートマッコリー」という街の郊外にある。

キャセグレインは、シドニーとブリスベンを結ぶパシフィックハイウェイのほぼ中間にあり、1980年にフランスから移ってきたオーナー兼チーフワインメーカーであるジョン・キャセグレイン氏が、「穏やかな海沿いの気候がプレミアムワインの生産に最適」だとして創業したワイナリー。キャセグレインはもともと1600年代からフランスでコニャック、ブランデー、ワインの生産を手がけていた家柄で、その伝統とオーストラリアのブドウが出会い、さまざまなワインを生み出している。

車内販売で見かけた"ちょうどいいサイズ"の「新幹線ワイン」は駅弁にもマリアージュ。ソムリエ資格を持つ担当者に話を聞いた ~東海道新幹線・車内販売用にカスタマイズしたオーストラリア産ワイン:トラベル Watch 2020年9月29日付け

ポートマッコリーは、豪国内最大級のコアラ専門病院があることで知られ、その郊外は、2019/2020年の大規模森林火災で火の手から逃げようとするコアラの衝撃的な映像が撮影された場所でもある。

キャセグレインは、そんな野生のコアラ生息地であるユーカリの森が広がる自然豊かな場所にあるワイナリーなのだ。

『世界一の朝食』でお馴染みの「bills」のエッセンスが詰まったワイナリーレストラン

キャセグレインには、レストラン「Twotriplefour(ツートリプルフォー)」が併設されている。このレストランは、『世界一の朝食』でお馴染みのシドニーのカフェ「 bills(ビルズ)」が手掛けるワイナリーレストランだ。

「ツートリプルフォー」は、ビルとその仲間たちが、ポートマッコリーを中心とするミッド・ノースコースト地区の季節の食材を生かした料理を出すレストランを作りたいという願いを叶えるため、長年かけてコンセプトを練った末、キャセグレイン・ワインとのコラボによって誕生。ここでつくられるワインに合う料理を提供している。

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ブランチ・メニューから「地元ポークのパティ&ポテトロスティのブリオッシュサンドとポーク&フェンネルのソーセージ」。合わせたワインは、フレンチオーク樽でねかせた美しい黄金色が特徴の「2016 リザーブ フロマントー シャルドネ」。(筆者撮影)

全面ガラスを採用した明るい店内に加え、ブドウ畑を望む広いアウトドア・ウッドデッキにテーブル席が設けられ、開放的で気持ち良く食事できるのがうれしい。アウトドアのデッキはペットもOK。地元の人はもちろん、場所柄、ブリスベン~シドニー間を車で移動する旅行者にも好評だ。

ただひとつ、気をつけたいのは、営業時間が短く、ブランチとランチしかやっていないこと。また、週末はとくに、すぐ満席になってしまうので、予約必須だ。

秘密基地のような空間でワイン・テイスティング

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地下につくられた秘密基地のようなテイスティング・ルーム。※レストランの奥から撮影(筆者撮影)

1985年にこの場所にオープンしたワイナリー「キャセグレイン」は、オーストラリア産ワインの特徴を凝縮したようなエレガントなスタイルのワインが豊富だ。

キャセグレイン家は、1643年からフランスでワインを生産してきた由緒ある醸造一家であり、伝統的技術を生かしながら、オーストラリアならではの最新技術を取り入れた革新的なワイン造りが、このワイナリーの特徴のひとつでもある。

一般的に、オーストラリアのワイナリーを訪問すると真っ先に目に飛び込んでくるのが、最新の技術で温度や発酵状態が管理されたステンレス製の大きなタンクであることが多いが、ここキャセグレインは、クラシックな造りの建物の半地下空間にオーク樽が所狭しと並ぶ。このあたりにも、代々受け継いできたフランスの伝統的なワイン造りへのこだわりが垣間見える。

オーク樽が並ぶ半地下を通り抜け、さらに階段を下りた地下の空間がテイスティング・ルームだ。外から伺い知ることができない地下の秘密基地のような空間は、さほどワインに興味がない人でも思わずワクワクせずにはいられないことだろう。秘密会議でも始まりそうな場所で、今季おすすめのワインを味見しながらお気に入りの1本を見つけるのは、ワイン好きならとくに、思い出に残る体験になるはずだ。食事の後は、忘れずにぜひ立ち寄ってみて欲しい。

地元で採れる季節の食材を生かしたおいしい料理と、それにピッタリとマッチしたワインで優雅なブランチ/ランチタイムが過ごせる、とっておきの場所「キャセグレイン・ワイン」&「ツートリプルフォー」。主要都市からは離れているが、間違いなく、オーストラリアでわざわざ足を運ぶ価値のあるワイナリー&レストランのひとつだ。〈了〉

【Data】
キャセグレイン・ワイナリー Cassegrain Wines
住所:10 Winery Dr, Port Macquarie NSW 2444 
営業時間:月~金 9:00~17:00、土日10:00~17:00
Tel: (02)6582 8377

ツートリプルフォー Twotriplefour
住所:同上
営業時間:水~日 ブランチ10:00~(10:30までに入店)、ランチ11:30~(14:30までに入店)
Tel: (02)6582 8320

 

Profile

著者プロフィール
平野美紀

6年半暮らしたロンドンからシドニーへ移住。在英時代より雑誌への執筆を開始し、渡豪後は旅行を中心にジャーナリスト/ライターとして各種メディアへの執筆及びラジオやテレビへレポート出演する傍ら、情報サイト「オーストラリア NOW!」 の運営や取材撮影メディアコーディネーターもこなす。豪野生動物関連資格保有。在豪23年目。

Twitter:@mikihirano

個人ブログ On Time:http://tabimag.com/blog/

メディアコーディネーター・ブログ:https://waveplanning.net/category/blog/

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