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平野美紀|オーストラリア

トップ・プレーヤーの出場危機、ワクチン接種で揺れる全豪オープン・テニス2022

2021年大会では、オーストラリア入国後の検疫隔離が厳しすぎると緩和を要請して却下されたジョコビッチ選手だが、今度はワクチン接種の壁に阻まれることに…(Credit:Tashi-Delek-iStock)

今年2月、世界的な感染症パンデミックの最中に、厳格な検疫体制で臨み、大会を成功させた全豪オープン・テニス2021だが、来年1月に予定されている2022年大会は、暗雲に包まれている。

なぜならば、「COVID-19ワクチンの接種を2回完了していること」が出場条件のひとつとされ、接種済でなければ出場できない可能性が浮上したからだ。

世界中で進められているCOVID-19ワクチン接種について、オーストラリアは出足が遅れたとはいえ、現在では世界でも高接種率の国となってきており、全豪オープン開催地であるメルボルンのあるビクトリア州では、ほとんどの職種に接種を義務付けているといっても過言ではない。

その義務付けられている職種の中に「スポーツ選手」も含まれているため、ビクトリア州でプロのスポーツ選手として働くためには、ワクチン接種が必須となる。これは同州で開催される国際大会でプレーする場合も含まれることから、来豪する海外選手にも適用されるとの見方だ。(参照

これにより、全豪オープンへ出場を希望する選手は、この要件を満たさなければ、大会への出場権が得られない可能性があり、現状では、国際テニス連盟に登録しているプロ選手の多くが、ワクチンを接種していないとされるため、波紋を呼ぶ事態となっている。

世界のトップ・プレーヤーたちが参加できない事態も?

報道によれば、現時点で、WTA(女子テニス協会)登録プレーヤーの40%、ATP(男子プロテニス協会)登録プレーヤーの35%が、ワクチン未接種であるとされ、この接種済要件が適用されてしまうと、多くの選手が出場できなくなってしまう可能性がある。(参照

なかでも懸念されるのは、現在、全豪連覇中かつ世界ランク1位でもあるノバク・ジョコビッチ選手の出場だ。

ジョコビッチ選手は、「接種を受けたかどうか明らかにするつもりはない。これはプライベートな問題だ」と公言しており、「接種するかどうかは個人の選択」として接種を拒否しているとされる。また、世界ランク2位のメドベージェフ選手もジョコビッチ選手の見解を支持。メドベージェフ選手も以前、個人の医学的な理由から接種しない方針であることが伝えられている。(参照1, 2, 3)  

さらに先日、世界ランク3位のチチパス選手も、自らのワクチン接種状況を公表しないと発言。(参照

このように、世界ランク上位の選手を含む、多くの選手が自らのワクチン接種状況について公表しない(=接種証明書を提示しない)ことで、出場できないとなれば、大会主催者側としては大きな問題だ。

豪政府とビクトリア州政府が異なる見解でさらに混乱

個人のワクチン接種状況が問われる事態となり、世界のトップ・プレーヤーの出場が危ぶまれるなか、WTAが各選手へ送ったメールが10月25日にリークされ、未接種者でも14日間の隔離要件を満たせば出場できる可能性が示唆されたことから、再び混乱と動揺が走る騒ぎとなった。

この件について、27日の記者会見で問われたモリソン首相が豪政府の見解として、「出場希望者でワクチンを接種していない場合は、2週間(14日間)の隔離を経ることが必須である」と発言。つまり、未接種であっても14日間の隔離を終了すれば出場OKであるとの見方を示した。(参照

しかし、開催地のビクトリア州首相は、このモリソン首相の見解にすぐさま反論。「誰であろうとも特別扱いはしない。免除措置の特例はない」と明言。(参照

オーストラリアでは、以前のコラムにも書いてきた通り、州政府の権限が強く、今回の件に関しても、今のところ主催州であるビクトリア州政府にアドバンテージがあるとの見方が強い。

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ビクトリア州の州都メルボルンで開催されるテニス四大大会(グランドスラム)のひとつ、『全豪オープン』。(筆者撮影)

全豪オープンでは、2019年から3連覇を続けるジョコビッチ選手の4連覇目がかかった2022年大会だが、彼本人の出場はどうなるのだろうか?

さらにメドベージェフ選手やチチパス選手も出場しないとなったら・・・

もし、このまま参加できない選手が多くなってしまえば、世界のトップ・プレーヤーが集う年頭のグランドスラム観戦を楽しみにしていたファンは、相当悲しむに違いない。

ちなみに、全豪の前哨戦とも言われ、同じくメルボルンで開催される「クーヨン・クラシック」は、2年連続の中止が決定している。(参照

ワクチン接種で揺れる全豪オープン2022。大会は、来年1月17日から始まる予定だ。〈了〉

 

Profile

著者プロフィール
平野美紀

6年半暮らしたロンドンからシドニーへ移住。在英時代より雑誌への執筆を開始し、渡豪後は旅行を中心にジャーナリスト/ライターとして各種メディアへの執筆及びラジオやテレビへレポート出演する傍ら、情報サイト「オーストラリア NOW!」 の運営や取材撮影メディアコーディネーターもこなす。豪野生動物関連資格保有。在豪23年目。

Twitter:@mikihirano

個人ブログ On Time:http://tabimag.com/blog/

メディアコーディネーター・ブログ:https://waveplanning.net/category/blog/

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