コラム

世界の日本愛を失うリスク......私が漫画のAI翻訳に反対する理由

2026年01月15日(木)19時39分
西村カリン(ジャーナリスト)

日本の漫画が海外で成功したのは、海外の出版社のおかげだ。当初、日本の出版社は海外で漫画を売ることに抵抗があった。国内市場で十分だったので、輸出のメリットを全く理解していなかった。

その消極的な姿勢に直面したベルギーやフランスの出版社が積極的に翻訳ほか必要な人材を育成し、魅力的な漫画の市場を育てた。


漫画の大成功や日本への関心の大きさは彼らのおかげだ。にもかかわらず、国内市場で足りなくなった日本の出版社は、これから生成AIやプラットフォームを開発し、海外出版社の役割を無視しながら、電子版を海外でも直接売ろうとしている。

「生成AIはわれわれが翻訳した漫画を学習しているのではないか」と心配する翻訳者も少なくない。

子供の時から日本の漫画が大好きで、日本語を勉強し、十数年あるいは数十年にわたって日本語だけでなく日本の文化や社会の特徴を学び、夢に見たように日本語がペラペラになったら何より嬉しいことだ。

世界で最も難しい言語といわれている日本語が話せるのは、日本に興味のある外国人にとってものすごく価値があることで、人生の重要な目標の1つだ。

それなのに日本語がようやくできるようになったら、「あなたは要らない。生成AIで2倍以上のスピードで翻訳し、世界中に漫画を売る」と言われたら外国人翻訳者がいかに悲しくなるか、いかに絶望感を覚えるか、いかに怒りを感じるかをぜひ日本の漫画業界の方々には想像してほしい。

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