コラム

海外で高く評価される日本の「ボロ布」文化...家電にもその精神を生かすべき

2022年07月28日(木)18時13分
トニー・ラズロ

「修理する権利」を知る日本人は1割未満

つまり米欧では、ファッションだけでなく電化製品の業界でも「修理の復権」とも言うべき変化が起こっている。だが残念なことに日本では、ボロ布という伝統文化があるというのに、これといった政策上の動きはまだ見られない。

最近のある調査によれば、「修理する権利」について知っている日本人は1割もいないし、家電を自分で修理した経験がない人は回答者全体の約6割にも及ぶ。ただ、関心がないわけでもない。「修理する権利」について、日本での発展を期待する人もまた6割に達している。これは欧州市民の考えにまあまあ近い。日本でも変化が起こる素地は整っているはず。

どう転んでも、着物を分解して、その切り端から新しい衣服をどんどん作る雪国のおばあちゃんたちにはかなわないが、その精神は大切にしたい。身の回りの物を修理するかしないかは、それぞれが決めればいい。ただ、それは権利の確保から始まる話。そろそろ日本でも「修理する権利」が確立されてもよくない?

NW_Tony_Laszlo.jpgトニー・ラズロ
TONY LÁSZLÓ
1960年、米ニュージャージー州生まれ。1985年から日本を拠点にジャーナリスト、講師として活動。コミックエッセー『ダーリンは外国人』(小栗左多里&トニー・ラズロ)の主人公。

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