コラム

日本から世界へ 環境スローガン「もったいない」の次は「EIMY」

2021年11月04日(木)17時05分
トニー・ラズロ
ソーラーパネル

YUKA OBAYASHIーREUTERS

<舌鋒鋭いグレタ・トゥーンベリは、日本の環境政策に言及しない。日本発の「MOTTAINAI」を知らないのかもしれない。これからは海外に、エネルギーの地産地消を推奨する「EIMY」を広めてはどうか>

いつかノーベル賞を受賞するのではないか。そう言われていた一人の女性環境活動家が、国際会議に招かれては「もう時間がない!」「今すぐ持続可能な開発を」などと訴えていた。その圧倒的な迫力に世界が魅せられた。

グレタ・トゥーンベリのこと? いや、僕の頭にあるのはケニア出身のワンガリ・マータイだ。

実際にノーベル平和賞を2004年に受賞した彼女は、翌2005年に日本語の「もったいない」に感銘を受けた。そしてそれを自分の活動に取り入れ、言葉の背景にある概念を世界中に広め始めた。

マータイいわく、消費削減、再使用、再生利用、そして自然への尊敬が全部込められている言葉はほかに見つからないから、「MOTTAINAI」を運動のキーワードとして選んだ。このことで、日本の伝統的価値観が国際舞台でどれだけ輝いたことか。

人を褒めたたえてくれる人もいれば、バッシングしてくる人もいる。いま活躍中のトゥーンベリは後者。彼女は9月にイタリアで開催された「若者気候サミット」で、大国の気候危機に対する取り組みを題材に演説をした。

例えば「グリーンエコノミー、うんたらかんたら」と彼女は演説で言った。これはボリス・ジョンソン英首相の風刺。そして、「ビルド・バック・ベター、うんたらかんたら」。これはジョー・バイデン米大統領をばかにしているくだり。彼女はこうして各国の対策を、実態のない口先だけのものとして批判しているわけだ。

でも、おかしい。日本の環境政策への言及がない。

批判を免れているのだからちょうどいいと思うかもしれないが、トゥーンベリは決して人を称賛しないタイプであることを忘れてはならない。無視イコール批判されない、ではない。

2011年に亡くなったマータイの「MOTTAINAI運動」は今も続いているが、18歳と若いトゥーンベリはこれを知らないのかもしれない。だったら、エネルギーの地産地消を推奨する「EIMY(エイミー)」はどうか。

これは東北大学名誉教授の工学者、新妻弘明氏が2002年に提唱したもので、地域にある再生可能エネルギーを利用するという考え方だ。

場所の特徴に応じて、主要なエネルギー源は地熱、水力、太陽光、バイオマス、あるいは風力になる。例えば、温泉の出る地域では地熱。軽井沢のあるリゾートホテルは、化石燃料を一切使わずに、使用するエネルギーの約70%を自給自足しているという。

プロフィール

外国人リレーコラム

・石野シャハラン(異文化コミュニケーションアドバイザー)
・西村カリン(ジャーナリスト)
・周 来友(ジャーナリスト・タレント)
・李 娜兀(国際交流コーディネーター・通訳)
・トニー・ラズロ(ジャーナリスト)
・ティムラズ・レジャバ(駐日ジョージア大使)

あわせて読みたい
ニュース速報

ワールド

イスラエル首相、イランで死亡説拡散 動画公開し否定

ワールド

IEA、石油備蓄4億バレル超放出 アジアは間もなく

ワールド

対ロシア圧力、制裁通じて維持を 英が米による緩和批

ワールド

オランダのユダヤ系学校で爆発、「意図的な攻撃」と市
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:教養としてのミュージカル入門
特集:教養としてのミュージカル入門
2026年3月17日号(3/10発売)

社会と時代を鮮烈に描き出すミュージカル。意外にポリティカルなエンタメの「魔力」を学ぶ

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    温暖化で増えた? サンマやサケ減少の裏で激増する「安価で栄養価の高い魚」の正体
  • 2
    ズボンを穿き忘れてる! 米セレブ、下を穿かず「目のやり場に困る」衣装...「これはオシャレなの?」
  • 3
    「筋肉はモッツァレラと同じ」...なぜウォーミングアップは「2セット」でいいのか?
  • 4
    米軍も防ぎきれないイランのドローン攻撃──イラン製…
  • 5
    機内で「人生最悪」の経験をした女性客...後ろの客の…
  • 6
    幼い子供たちの「おぞましい変化」を克明に記録...「…
  • 7
    ぜんぜん身体を隠せてない! 米セレブ、「細いロープ…
  • 8
    世界の視線は中東から日本へ...企業主導で築くインド…
  • 9
    有人機の「盾」となる使い捨て無人機...空の戦いに革…
  • 10
    50代から急増!? 「老け込む人」に共通する体の異変【…
  • 1
    ロシア政府、痛恨のミス...プーチンの「健康不安説」を裏付けるような動画を公式に投稿してしまう
  • 2
    温暖化で増えた? サンマやサケ減少の裏で激増する「安価で栄養価の高い魚」の正体
  • 3
    メーガン妃、娘リリベット王女との新ショット公開...撮影はパパ
  • 4
    「日本より、自分の国(フランス)を心配すれば?」…
  • 5
    米軍も防ぎきれないイランのドローン攻撃──イラン製…
  • 6
    「このままよりはマシだ」――なぜイランで米軍の攻撃…
  • 7
    職業別の収入に大変動......タクシー運転手・自動車…
  • 8
    キャサリン皇太子妃、英連邦デー式典に出席...公開さ…
  • 9
    ズボンを穿き忘れてる! 米セレブ、下を穿かず「目の…
  • 10
    世界の視線は中東から日本へ...企業主導で築くインド…
  • 1
    ロシア政府、痛恨のミス...プーチンの「健康不安説」を裏付けるような動画を公式に投稿してしまう
  • 2
    温暖化で増えた? サンマやサケ減少の裏で激増する「安価で栄養価の高い魚」の正体
  • 3
    メーガン妃、娘リリベット王女との新ショット公開...撮影はパパ
  • 4
    見事なカンフーを見せた中国ヒト型ロボットのからく…
  • 5
    アルコールは血糖値を下げる...「脳と血管を守る」医…
  • 6
    「ヘル・コリア」から日本へ7万人 ── 大企業の高給より…
  • 7
    「日本より、自分の国(フランス)を心配すれば?」…
  • 8
    日本の若者「韓国就職」憧れと現実のギャップ ── ビ…
  • 9
    命は長し、働け女たち――88歳「働くばあさん」が説く…
  • 10
    「水道水」が筋トレの成果を左右する...私たちの体に…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story