中国経済をむしばむ「内巻」現象とは?
最も影響を受ける産業
過度の競争により、電気自動車(EV)、太陽光パネル、リチウム電池、鉄鋼、セメント、食品配達など複数分野で企業の利益率が縮小している。
世界最大の自動車市場である中国では2023年、比亜迪(BYD)や米テスラを含む数十のEVブランド間で激しい価格競争が勃発した。中国当局は今年5月、EV業界に絶え間ない値下げを停止するよう命じた。
中国に本社を置く上場自動車メーカー33社を対象としたLSEGのデータによると、同業界の純利益率の中央値は2019年に2.7%だったのが、24年にはわずか0.83%に低下した。
中国の太陽光発電産業も、「反内巻」運動の渦中にある。天合光能(トリナ・ソーラー)の高紀凡・会長が指摘したように、多大な過剰生産能力と価格競争の結果、製造バリューチェーンにおける損失が昨年400億ドルに達したからだ。
過剰供給削減のための構造改革は始まっているものの、中国の太陽光発電生産量が需要に見合うまでの道のりは長い。アナリストの試算では、24年の中国のウエハー、セル、モジュールの生産能力だけで32年までの世界の年間需要をまかなえる。





