ウクライナを守るのは「誰」か?――揺らぐ安全保障と「安心部隊」の実態とは
Security Delusions
NATOの集団的自衛権を定めた北大西洋条約第5条は、アメリカの軍事力によって支えられている。その肝心な部分を欠いた「第5条的な」保証など、誰が恐れるだろう。ましてや、ロシアがそんなものを気にかけるとは思えない。
さらにウィトコフは、ロシアが「強固な安全の保証」に同意したと主張した。これまた意味不明も甚だしい。
ロシアは、2022年にイスタンブールで開かれた停戦協議(その実態はウクライナの降伏条件の交渉だった)で提案したように、ウクライナの安全を強化する取り組みにはロシアが拒否権を持つべきだという考えを、十分すぎるほど明らかにしてきた。
プーチンは8月末にも、いかなる形であれウクライナに西側諸国の兵士が駐留することは認めないと繰り返した。
8月24日にはセルゲイ・ラブロフ露外相が、ウクライナに対する安全の保証は、国連安全保障理事会の常任理事国が参加する枠組みにすべきと主張した。
つまりロシア(とその友好国の中国)が、拒否権を持つべきだというのだ。
ウクライナの安全の保証はロシアの脅威になるからロシアが拒否権を持つべきだなどという議論は、全くナンセンスだ。実際に侵略を受けているのは(だからこそ将来の安全の保証を求めているのは)ウクライナなのだ。