最新記事
ウクライナ戦争

「戦争は変わった」――『メタルギアソリッド』ではなく、現実の戦争の話【note限定公開記事】

ROBOTIC WARFARE HAS ARRIVED

2025年9月1日(月)19時56分
ラグナール・サス(軍事コラムニスト)
軍用ドローンを操作する兵士のイメージ写真

PARILOV/SHUTTERSTOCK

<「戦争は変わった」――ゲームのセリフが現実となりつつある。無人機が空・海・陸で激突し、兵器の優位性はわずか数カ月で失われていく>


▼目次
1.気が付けば戦場の主役は「ロボット」
2.元グーグルCEOも参戦、自律型システムが衝突する時代へ

1.気が付けば戦場の主役は「ロボット」

ロシアがウクライナに攻め込んでから3年半、その主戦場は気が付けば伝統的な肉弾戦から最新のロボット戦に移っている。

今では死傷者の7~8割が遠隔操作のドローン(無人攻撃機)にやられている。しかも兵器の開発競争はすさまじく、最新兵器でさえ2~3カ月でその優位性が失われてしまうほどだ。

好むと好まざるとにかかわらず、今はロボット戦争の時代だ。

私たちはウクライナの空で、地上で、海で、その第1段階を目の当たりにしている。

ウクライナにおける軍事技術の開発は世界最速のペースで、しかも民間のガレージや地下室などで進められている。

新型ドローンの開発もそうだし、ドローン迎撃システムの開発もそうだ。

それは産軍連携の典型だ。

完成された新型機はすぐ前線に投入され、翌日には兵士が試しに使ってみて、24時間以内には現場からのフィードバックが開発者に届き、製品のさらなる改良や次世代兵器の開発に役立てられる。

試作品を自ら戦闘地域に持ち込み、実戦で使用しながら現場の兵士と協力して改良に取り組むチームもいる。

むろん、これに対抗するロシアの防衛産業も24時間体制でフル稼働している。7月9日には728機もの軍事ドローン「シャヘド」をウクライナ領に送り込んだ。

ロシアが高性能の兵器を迅速に大量生産できるという証拠だ。

7月の1カ月間でロシアが投入したドローンは6200機以上で、これは前年同月比で14倍、前月比でも16%の増加となった。

この脅威に対抗すべく、少なくともウクライナの防衛企業2社がAI(人工知能)を用いてシャヘドを認識し、破壊する迎撃ドローンを開発した。

現状で迎撃成功率は60~70%とされる。一方、シャヘドも一段と賢くなっている。自分が追われていることを感知して回避行動を取るタイプも登場している。

これが史上初の「ロボット対ロボット戦争」の姿だ。

2.元グーグルCEOも参戦、自律型システムが衝突する時代へ

この戦争はリアルタイムで互いを出し抜こうとする2つの自律型システムによって繰り広げられている。

◇ ◇ ◇

記事の続きはメディアプラットフォーム「note」のニューズウィーク日本版公式アカウントで公開しています。

【note限定公開記事】「戦争は変わった」――『メタルギアソリッド』ではなく、現実のロボット戦争の話


ニューズウィーク日本版「note」公式アカウント開設のお知らせ

公式サイトで日々公開している無料記事とは異なり、noteでは定期購読会員向けにより選び抜いた国際記事を安定して、継続的に届けていく仕組みを整えています。翻訳記事についても、速報性よりも「読んで深く理解できること」に重きを置いたラインナップを選定。一人でも多くの方に、時間をかけて読む価値のある国際情報を、信頼できる形でお届けしたいと考えています。

ニューズウィーク日本版 ジョン・レノン暗殺の真実
※画像をクリックすると
アマゾンに飛びます

2025年12月16日号(12月9日発売)は「ジョン・レノン暗殺の真実」特集。衝撃の事件から45年、暗殺犯が日本人ジャーナリストに語った「真相」 文・青木冨貴子

※バックナンバーが読み放題となる定期購読はこちら


あわせて読みたい
ニュース速報

ビジネス

9月の米卸売在庫、0.5%増 GDPにプラス寄与か

ワールド

タイ首相、議会解散の方針表明 「国民に権力を返還」

ワールド

米印首脳が電話会談、関税導入後3回目 二国間関係な

ワールド

トルコ中銀が150bp利下げ、政策金利38% イン
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:ジョン・レノン暗殺の真実
特集:ジョン・レノン暗殺の真実
2025年12月16日号(12/ 9発売)

45年前、「20世紀のアイコン」に銃弾を浴びせた男が日本人ジャーナリストに刑務所で語った動機とは

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    人手不足で広がり始めた、非正規から正規雇用へのキャリアアップの道
  • 2
    【クイズ】「100名の最も偉大な英国人」に唯一選ばれなかった「ビートルズ」のメンバーは?
  • 3
    中国軍機の「レーダー照射」は敵対的と、元イタリア空軍の専門家。NATO軍のプロフェッショナルな対応と大違い
  • 4
    【衛星画像】南西諸島の日米新軍事拠点 中国の進出…
  • 5
    首や手足、胴を切断...ツタンカーメンのミイラ調査開…
  • 6
    受け入れ難い和平案、迫られる軍備拡張──ウクライナ…
  • 7
    「何これ」「気持ち悪い」ソファの下で繁殖する「謎…
  • 8
    ピットブルが乳児を襲う現場を警官が目撃...犠牲にな…
  • 9
    健康長寿の鍵は「慢性炎症」にある...「免疫の掃除」…
  • 10
    「安全装置は全て破壊されていた...」監視役を失った…
  • 1
    日本人には「当たり前」? 外国人が富士山で目にした「信じられない」光景、海外で大きな話題に
  • 2
    【銘柄】オリエンタルランドが急落...日中対立が株価に与える影響と、サンリオ自社株買いの狙い
  • 3
    日本の「クマ問題」、ドイツの「問題クマ」比較...だから日本では解決が遠い
  • 4
    健康長寿の鍵は「慢性炎症」にある...「免疫の掃除」…
  • 5
    兵士の「戦死」で大儲けする女たち...ロシア社会を揺…
  • 6
    キャサリン妃を睨む「嫉妬の目」の主はメーガン妃...…
  • 7
    中国軍機の「レーダー照射」は敵対的と、元イタリア…
  • 8
    ホテルの部屋に残っていた「嫌すぎる行為」の証拠...…
  • 9
    【クイズ】アルコール依存症の人の割合が「最も高い…
  • 10
    仕事が捗る「充電の選び方」──Anker Primeの充電器、…
  • 1
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」に...日本からは、もう1都市圏がトップ10入り
  • 2
    一瞬にして「巨大な橋が消えた」...中国・「完成直後」の橋が崩落する瞬間を捉えた「衝撃映像」に広がる疑念
  • 3
    高速で回転しながら「地上に落下」...トルコの軍用輸送機「C-130」謎の墜落を捉えた「衝撃映像」が拡散
  • 4
    日本人には「当たり前」? 外国人が富士山で目にした…
  • 5
    「999段の階段」を落下...中国・自動車メーカーがPR…
  • 6
    まるで老人...ロシア初の「AIヒト型ロボット」がお披…
  • 7
    「髪形がおかしい...」実写版『モアナ』予告編に批判…
  • 8
    【銘柄】オリエンタルランドが急落...日中対立が株価…
  • 9
    日本の「クマ問題」、ドイツの「問題クマ」比較...だ…
  • 10
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるよ…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中