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ガザの記者が消された意味 本当の物語はもう世界に届かない

Killing the Witness: Gaza’s Journalists and the Global Blueprint of Disappearance

2025年8月13日(水)21時37分
ジョン・マークス

収容者との面会や収容施設での撮影、ICEが住民を拘束する現場の取材を妨げられる例もあった。CPJのジョディ・ギンズバーグ事務局長は「記者を締め出せば、真実も締め出される」と語る。収容者を犯罪者や脅威、「侵略者」と呼ぶのは、弾圧を準備するために他国で使われてきた言葉と同じだ。

国外でこの台本が実行されるたび、国内での再演が容易になる。単なる仮定の話ではない。2016年に先住民居留地でパイプライン建設反対運動が起こった時は、記者は逮捕され、機材も押収された。

2020年、白人警官が無抵抗の黒人男性ジョージ・フロイドを殺害した事件に対する抗議デモを取材していた記者はゴム弾で負傷し、催涙ガスを浴び、拘束された。

こうした妨害は、現場の状況をリアルタイムで市民が知る機会を奪い、当局だけが公表する映像や証言を管理することを意味する。「見聞きできることを制御することで、人々を制御する」、弾圧の常套手段だ。

アメリカだけではない。インドはアッサム州でムスリムの市民権を剥奪し、ハンガリーは法的・規制的圧力で独立系メディアを絞めつけ、エジプトは政策として記者を拘束・沈黙させる。いずれの場合も、大規模逮捕や市民権剥奪、追放などの前に、独立した報道機関の弱体化が行われた。つまり、報道を封じることが弾圧を容易にする前提条件になっているのだ。

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