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対中半導体規制に抜け穴、昨年380億ドルの製造装置購入 米下院報告書

2025年10月07日(火)21時24分

米下院の「中国に関する特別委員会」の報告書によると、中国の先端半導体製造能力を制限する米国と同盟国の取り組みに抜け穴があり、中国が昨年、高度な半導体製造装置を法律に違反しない形で380億ドル相当購入していたことが明らかになった。両国の国旗と回路基板(2025年 ロイター/Florence Lo/Illustration)

Stephen Nellis

[サンフランシスコ 7日 ロイター] - 米下院の「中国に関する特別委員会」の報告書によると、中国の先端半導体製造能力を制限する米国と同盟国の取り組みに抜け穴があり、中国が昨年、高度な半導体製造装置を法律に違反しない形で380億ドル相当購入していたことが明らかになった。

米国の歴代政権は、安全保障上の懸念から中国の半導体生産能力を制限する取り組みを進めてきたが、米国、日本、オランダの規制の整合性が取れていないため、米企業が中国に販売できない製造装置を、米国以外のメーカーが中国に販売しているという。

同委員会は、中国の特定の半導体メーカーに対する限定的な禁輸措置ではなく、同盟国全体で中国への半導体製造装置の販売を広範に禁止すべきだと主張している。

ロイターが入手した報告書によると、中国企業は昨年、大手半導体製造装置メーカー5社から計380億ドル相当の装置を法律に違反しない形で購入した。これは半導体装置の輸出規制の多くが導入された2022年を66%上回る水準。アプライド・マテリアルズ、ラム・リサーチ、KLA、ASML、東京エレクトロンの合計売上高の39%近くを占めるという。

東京エレクトロンの米国法人社長、マーク・ドハティ氏は取材に対し、新たな規制などを背景に、今年の業界の対中売上高は減少に転じ始めているとし、日米両政府のさらなる連携を歓迎すると表明した。

報告書は、同盟国の連携強化を提言。中国が国産の半導体製造装置を生産する際に用いる可能性のある部品も含め、規制対象を拡大すべきだとしている。

ロイター
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