最新記事
アルジャジーラ

ガザの記者が消された意味 本当の物語はもう世界に届かない

Killing the Witness: Gaza’s Journalists and the Global Blueprint of Disappearance

2025年8月13日(水)21時37分
ジョン・マークス

ある国で成功した方法は他国の権力者を勇気づけ、報道弾圧が常態化し、輸出されることになる。この手口は学ばれ、共有され、権力者が監視を恐れるあらゆる場所で展開される。

記者が殺されたり沈黙させられたりすると、当局は「記者は戦争報道には危険が伴うことを承知している」と言うことが多い。しかしジュネーブ条約は、記者は保護されるべき民間人であり、彼らを標的にすることは許されないと明記している。

もう一つのよくある言い訳は、「殺されたのは記者に偽装した戦闘員だ」というものだ。このレッテルが貼られると、法的保護は消える。だがいかなる独立機関も、ガザで殺害された記者アルシャリフと同僚たちに対してなされたハマスの戦闘員だったという主張を検証できていない。

国民の移動を制限し、報道や議会のチェック機能を弱め、住民を収監している国があったとしても、ガザは特殊だから比較にはならない、と現実を認めない者もいる。

歴史的な事件との比較を誇張だと片づける者もいるが、強制移住、法的権利の無効化、言論封じは、歴史上もしばしば虐殺の前触れとなってきた。イスラエル政策への批判を反ユダヤ主義と決めつける言論操作も有害だ。統治とアイデンティティが混同され、正当な監視ができなくなる。

あわせて読みたい
ニュース速報

ビジネス

米企業、債務拡大へ信用契約の柔軟化要求 ムーディー

ワールド

プーチン氏、米はウクライナ和平で「誠実な努力」 核

ワールド

米ロ首脳、日本時間16日午前4時30分から会談 終

ワールド

ノルウェー中銀、政策金利据え置き 年内の利下げ視野
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:Newsweek Exclusive 昭和100年
特集:Newsweek Exclusive 昭和100年
2025年8月12日/2025年8月19日号(8/ 5発売)

現代日本に息づく戦争と復興と繁栄の時代を、ニューズウィークはこう伝えた

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「自律神経を強化し、脂肪燃焼を促進する」子供も大人も大好きな5つの食べ物
  • 2
    「長女の苦しみ」は大人になってからも...心理学者が教える「長女症候群」からの抜け出し方
  • 3
    「何これ...」歯医者のX線写真で「鼻」に写り込んだ「衝撃の物体」にSNS震撼、13歳の娘は答えを知っていた
  • 4
    「笑い声が止まらん...」証明写真でエイリアン化して…
  • 5
    【クイズ】アメリカで最も「盗まれた車種」が判明...…
  • 6
    これぞ「天才の発想」...スーツケース片手に長い階段…
  • 7
    マスクの7年越しの夢...テスラ初の「近未来ダイナー…
  • 8
    将来ADHDを発症する「幼少期の兆候」が明らかに?...…
  • 9
    「ホラー映画かと...」父親のアレを顔に塗って寝てし…
  • 10
    12歳の娘の「初潮パーティー」を阻止した父親の投稿…
  • 1
    「自律神経を強化し、脂肪燃焼を促進する」子供も大人も大好きな5つの食べ物
  • 2
    イラン人は原爆資料館で大泣きする...日本人が忘れた「復讐の技術」とは
  • 3
    デンマークの動物園、飼えなくなったペットの寄付を呼びかけ ライオンのエサに
  • 4
    山道で鉢合わせ、超至近距離に3頭...ハイイログマの…
  • 5
    【クイズ】次のうち、「軍用機の保有数」で世界トッ…
  • 6
    職場のメンタル不調の9割を占める「適応障害」とは何…
  • 7
    デカすぎ...母親の骨盤を砕いて生まれてきた「超巨大…
  • 8
    これぞ「天才の発想」...スーツケース片手に長い階段…
  • 9
    「長女の苦しみ」は大人になってからも...心理学者が…
  • 10
    「何これ...」歯医者のX線写真で「鼻」に写り込んだ…
  • 1
    「週4回が理想です」...老化防止に効くマスターベーション、医師が語る熟年世代のセルフケア
  • 2
    こんな症状が出たら「メンタル赤信号」...心療内科医が伝授、「働くための」心とカラダの守り方とは?
  • 3
    その首輪に書かれていた「8文字」に、誰もが言葉を失った
  • 4
    デカすぎ...母親の骨盤を砕いて生まれてきた「超巨大…
  • 5
    デンマークの動物園、飼えなくなったペットの寄付を…
  • 6
    「自律神経を強化し、脂肪燃焼を促進する」子供も大…
  • 7
    ウォーキングだけでは「寝たきり」は防げない──自宅…
  • 8
    頭はどこへ...? 子グマを襲った「あまりの不運」が…
  • 9
    山道で鉢合わせ、超至近距離に3頭...ハイイログマの…
  • 10
    イラン人は原爆資料館で大泣きする...日本人が忘れた…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中