トランプが計画する、南コーカサスの「トランプ・ブリッジ」とは? ロシアやイランは戦々恐々
How 'Trump Bridge' May Soon Reshape Warzone Bordering Russia, Iran, Turkey
周辺国の利害とも衝突する可能性大
両国間の和平合意がどのような形で実現しても、その影響は南コーカサスと国境を接するロシア、イラン、トルコといった周辺の大国にも及ぶ可能性が高い。
ママドフは「これらの国々は、南コーカサスを自らの戦略的勢力圏と見なしている。特に、トランプを筆頭に世界から注目されているアメリカが関与するとなると、これらの国は黙ってはいないだろう」と語る。
アジアとヨーロッパの戦略的交差点に位置するアルメニアとアゼルバイジャンは、歴史的にペルシャ帝国、オスマン帝国、ロシア帝国の支配下に置かれてきた。
両国が1991年にソ連から独立すると、国際的にはアゼルバイジャン領と認められているナゴルノ・カラバフでアルメニア人がアルツァフ共和国を宣言、以降、大規模な衝突が度々発生するようになった。両国は互いに相手国が民族浄化を行ったと非難し合っている。
アルメニアは、第一次世界大戦中にオスマン帝国が行ったアルメニア人の追放と大量殺害について、ジェノサイドだったと認めるようトルコに求め続けている(現在、ほとんどの国はジェノサイドだと認定している)。今なお両国間に国交は結ばれておらず、トルコとの関係は良好ではない。その反面、ロシアとは良好な関係を築いていた。
一方、アゼルバイジャンは、独立以降トルコとの緊密な関係を築いてきた。2020年や2023年のアルメニアとの紛争の際は、トルコ製ドローンがアルメニアに甚大な損害を与えており、トルコは両国間の紛争の趨勢に重大な影響を及ぼした。
結果、アルメニアはロシア主導の軍事同盟「集団安全保障条約機構」(CSTO)から脱退するなど、ロシアに見切りをつけつつある。