最新記事
中東情勢

中国がガザ紛争の「救世主」に名乗り...パレスチナ問題「介入」の、平和とは程遠い目的とは?

China Weighs In on Gaza War

2025年8月7日(木)18時50分
アミラ・エルフェッキ
中国とパレスチナの旗

中国はパレスチナ問題ではパレスチナを支持している Esfera-shutterstock

<中国がパレスチナ問題への関与を示唆するような発言を行ったが、中国の思惑は「平和」とは別のところにあるようだ>

中国外交部は8月5日、北京でアラブ諸国の外交官を集めた会合を開催した。その中で、「現在、パレスチナ問題は極めて重要な局面にある」と指摘。そのうえで、ガザ紛争の終結に向けたアラブ諸国の取り組みを支持する姿勢を改めて表明した。

中国の翟雋(チャイ・チュン)中東問題特使は、「中国はパレスチナ人民、正義、そして道徳の側にしっかりと立っている」と中国によるパレスチナ擁護の姿勢を改めて表明した。

本誌は、米国務省にコメントを求めている。


翟は会合の中で、「中国はガザ地区での停戦、人道支援の継続、ヨルダン川西岸の安定化、『二国家解決(イスラエルとパレスチナ両方が国家として併存することによる解決)』によるパレスチナ問題の解決に向けた確固たる基盤の確立が必要だ」と指摘。

そして、「中国はアラブ諸国による団結の強化と、パレスチナ問題におけるより大きな役割の発揮を支持する。アラブ諸国を含む国際社会と協力し、『二国家解決』の原則に基づく、包括的で公正かつ持続可能な解決の早期実現に向けて取り組む用意がある」とパレスチナ問題への介入の可能性を示唆した。

それに対し、アラブ諸国は「占領下のパレスチナ領土におけるイスラエルの暴力、封鎖、飢餓作戦、ならびにパレスチナの土地を侵害し、その人口構成を強制的に変えようとするいかなる行為も、断固として反対し、非難する」と表明した。

中国に対しては「今後もパレスチナ問題において公正な立場を堅持すること、そして、パレスチナ人が未来を自ら決定し、最終的には独立したパレスチナ国家の樹立を実現するため、より建設的な役割を果たすことを期待する」と、中国のパレスチナ寄りの関与を歓迎するような旨の発言を行った。

BAT
「より良い明日」の実現に向けて、スモークレスな世界の構築を共に
あわせて読みたい
ニュース速報

ワールド

トランプ政権、「聖域都市」条例巡りボストン市を提訴

ワールド

フィリピンCPI、8月は前年比+1.5%に加速 予

ワールド

韓日米、15日から年次合同演習実施 北朝鮮の脅威に

ビジネス

日立、米国で送配電機器の製造能力強化 10憶ドル超
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:豪ワーホリ残酷物語
特集:豪ワーホリ残酷物語
2025年9月 9日号(9/ 2発売)

円安の日本から「出稼ぎ」に行く時代──オーストラリアで搾取される若者たちの実態は

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    【動画あり】9月初旬に複数の小惑星が地球に接近...地球への衝突確率は? 監視と対策は十分か?
  • 2
    「怖すぎる」「速く走って!」夜中に一人ランニングをする女性、異変を感じ、背後に「見えたモノ」にSNS震撼
  • 3
    「よく眠る人が長生き」は本当なのか?...「睡眠障害」でも健康長寿な「100歳超えの人々」の秘密
  • 4
    「生きられない」と生後数日で手放された2本脚のダ…
  • 5
    「あのホラー映画が現実に...」カヤック中の男性に接…
  • 6
    50歳を過ぎても運動を続けるためには?...「動ける体…
  • 7
    【クイズ】世界で2番目に「農産物の輸出額」が多い「…
  • 8
    世論が望まぬ「石破おろし」で盛り上がる自民党...次…
  • 9
    SNSで拡散されたトランプ死亡説、本人は完全否定する…
  • 10
    信じられない...「洗濯物を干しておいて」夫に頼んだ…
  • 1
    東北で大腸がんが多いのはなぜか――秋田県で死亡率が下がった「意外な理由」
  • 2
    1日「5分」の習慣が「10年」先のあなたを守る――「動ける体」をつくる、エキセントリック運動【note限定公開記事】
  • 3
    50歳を過ぎても運動を続けるためには?...「動ける体」をつくる4つの食事ポイント
  • 4
    「怖すぎる」「速く走って!」夜中に一人ランニング…
  • 5
    豊かさに溺れ、非生産的で野心のない国へ...「世界が…
  • 6
    25年以内に「がん」を上回る死因に...「スーパーバグ…
  • 7
    【動画あり】9月初旬に複数の小惑星が地球に接近...…
  • 8
    信じられない...「洗濯物を干しておいて」夫に頼んだ…
  • 9
    日本の「プラごみ」で揚げる豆腐が、重大な健康被害…
  • 10
    首を制する者が、筋トレを制す...見た目もパフォーマ…
  • 1
    「自律神経を強化し、脂肪燃焼を促進する」子供も大人も大好きな5つの食べ物
  • 2
    デンマークの動物園、飼えなくなったペットの寄付を呼びかけ ライオンのエサに
  • 3
    「まさかの真犯人」にネット爆笑...大家から再三「果物泥棒」と疑われた女性が無実を証明した「証拠映像」が話題に
  • 4
    信じられない...「洗濯物を干しておいて」夫に頼んだ…
  • 5
    山道で鉢合わせ、超至近距離に3頭...ハイイログマの…
  • 6
    「レプトスピラ症」が大規模流行中...ヒトやペットに…
  • 7
    「あなた誰?」保育園から帰ってきた3歳の娘が「別人…
  • 8
    将来ADHDを発症する「幼少期の兆候」が明らかに?...…
  • 9
    デカすぎ...母親の骨盤を砕いて生まれてきた「超巨大…
  • 10
    イラン人は原爆資料館で大泣きする...日本人が忘れた…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中